「肩甲骨剥がし」は肩こりに効くか

「骨盤矯正」に押され気味ではあるのですが「肩甲骨剥がし」という手技を標榜しておられる治療院を時々見ます。

肩甲骨はご存知ですね。肋骨の背中側に張り付いたようになっている三角形の骨です。肩を動かすときは上腕骨だけではなく、この肩甲骨や肋骨が同時に動いています。

肩甲骨が肋骨に張り付いている、と言いましたが、その際の「接着剤」の働きをするのが肩甲下筋という筋肉です。肩甲下筋には肩関節の内転、内旋、伸展の働きがありますが、それだけではなく上腕骨を安定する働きもあります。よく耳にする、「腱板」「ローテーター・カフ」を構成する筋肉のひとつです。

仕事で長時間前傾姿勢を取っていると肩甲下筋や肩甲骨周辺の筋肉が緊張したままになります。そうなると肩甲骨の運動は妨げられてしまいます。肩は正常な運動ができなくなりますし、肩甲骨周辺の筋肉の緊張は「肩こり」として認識されます。治療院でよく言われる「猫背」「巻き肩」というのは要するに前傾姿勢で肩甲骨周辺が緊張した状態を指します。

それで、肩甲下筋や肩甲骨周辺の筋肉を緩めて肩甲骨が自由に動けるようにしよう、というのが「肩甲骨剥がし」のコンセプトであるようです。ただね、例えば動画サイトなんかで見ると世にいう「肩甲骨剥がし」はちょっと乱暴な印象を受けます。それから肝心かなめの肩甲下筋へのアプローチがされていません。

解剖学の書籍を見ていると肩甲下筋は触診できない、と記載されています。けれども肩甲下筋に緊張があると肩甲骨体部の外縁に沿って圧痛が出現します。この圧痛を処置すると肩甲骨の可動性は戻り、肩こりも改善します。

肩甲骨(体部)はごく薄い骨です。尾頭付きを食べたときに出てくる「鯛の鯛」が鯛の肩甲骨なのですけれど、人間の肩甲骨もあんな感じです。私はわりあい好奇心旺盛なほうで、さらに肩が凝りやすい質です。それでさまざまな治療院で整体やらリラクゼーションやらを受けてみることがあります。勉強になることもあればとんでもない目に合うこともあります。ただ、「肩甲骨剥がし」を自分で体験してみようとは決して思いません。

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