頭蓋骨が動こうが動くまいが 頭蓋仙骨療法は怪しいか2

頭蓋、顔面頭蓋を覆う筋肉

頭蓋仙骨療法が怪しい、インチキだという人はたくさんいます。インチキを主張される方は「頭蓋骨の縫合が動くはずがない。」ということを根拠にされます。一般の解剖学では頭蓋骨の縫合(骨どうしのつなぎ目)は不動関節で動かない、とされます。骨盤の仙腸関節も同様に不動関節とされます。

これに対する反論の根拠は、というとこれがまた「不動関節といわれていた頭蓋骨は本当は動く」ということにつきます。実際に頭蓋骨の動きを触診することで打撲や中耳炎の痕跡を割合正確に指摘できることは事実です。ただしこれはあくまでも感覚の世界であって科学的な照明は難しいかもしれません。頭蓋仙骨療法や類似の療法を行う施術者の中には、「普通は頭蓋骨は動かないが、自分が施術をすると動く」などということを主張する阿呆もいて、同業の足を熱心に引っ張ってくれたりもしています。

いずれにせよ頭蓋仙骨療法がインチキであると主張する方も、有効な治療法であると反論する方も、その根拠になっているのは頭蓋骨の動きの有無、ということになります。

この議論?のおかしなところはお判りいただけるでしょうか。もし仮に頭蓋骨が不動関節で動かなかったとしても、それは作用機序のモデル(なぜその治療法が有効なのか、という仮説)が違っていたからで、頭蓋仙骨療法が有効なセラピーであるか否かを決める根拠にはならない、ということです。

頭蓋仙骨療法の作用機序のモデルとして、頭蓋、顔面頭蓋を覆う筋膜の調整ではないか、という考えをとあるセミナーでカイロプラクティック大学卒業の先生から伺った時には自分の行じている手技に新しい光が当たったような驚きを感じたものです。もう20年も前のことです。

筋膜リリースでも頭蓋仙骨療法のテクニックを取り入れている、ということは以前に記事にしました。ひょっとしたらこちらの考えのほうがこれからは主流になってくるのかもしれません。

それからもうひとつ、頭部の静脈は「導出静脈」といって脳表面の静脈が頭蓋骨を貫通して頭皮の静脈とつながった構造になっています。そのため頭皮への刺激が脳の血流に影響を与えると考えられています。頭蓋骨、あるいはその下にある脳を刺激するとは言っても実際にセラピストが操作するのは頭の皮膚ですよね。もし頭蓋骨が不動関節であったとしても、それとは関係なく頭蓋骨に手を当てて調整することで深いリラクゼーションは得られそうです。

頭蓋仙骨療法をはじめとする頭蓋骨への手技療法は、「頭蓋骨の縫合は不動関節ではなく動きを有する」という従来の医学とは違ったアイディアから生まれました。でもたぶんおそらく、そのモデルに固執しなくても普通の医学と矛盾しない形で医療現場でも用いられることが可能です。

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