咀嚼筋と自律神経

ものを噛むときの筋肉は4つあって、総称して「咀嚼筋」と呼ばれます。その中で一番小さいのが外側翼突筋です。個々の咀嚼筋を調整するときにはカウンターストレインという手技を使います。それぞれの筋肉を触診して圧痛を見つけ、圧痛の消失する方向に下顎骨を動かす、という治療法です。
それで、カウンターストレイン(厳密にはオリジナルではなくポジショナルリリースという変法)の外側翼突筋の圧痛点の取り方が妙にややこしくて難渋していました。東洋医学で外側翼突筋のところに「下関(げかん)」という経穴があります。もちろん外側翼突筋が緊張していると下関にも圧痛がありますから「外側翼突筋の圧痛点って、下関でいいんじゃないか」と思って使っています。下関を触診してみて圧痛があれば外側翼突筋に緊張がある、とみなしてその調整を行うということです。
ところで下関は、いわゆる「ツボ」としては顔のけいれんや上の歯の痛み、三叉神経痛などに有効とされています。でもここに鍼を打つことで花粉症が改善するといいます。下関に刺鍼すると翼口蓋神経節という自律神経のセンターみたいなところを刺激するから、と説明されています。
「経絡と解剖学」の吉田啓先生によれば下関は「全身の筋緊張、運動機能障害、バランス調整、線維筋痛症などの全身疾患、自律神経失調、てんかん、チック、ジストニアなど」経筋病全般に効果があるといいます。
私は経絡については知りませんが、この筋肉は外側「翼突」筋の名称の通り蝶形骨の翼状突起から起始していますからクラニオセイクラル的には臨床上重要な部位であることはもちろん理解できます。
それからもうひとつ、咀嚼筋が働くということはものを食べているということで、この時がイキモノとしてはもっとも至福の時であるといいます。快情動が賦活されているということですね。これは食いしん坊の私としても納得がいく話です。たしかに咀嚼と感情ってどこか関連がありそうな気がします。ご飯がおいしいというのは幸せの象徴だし、「苦虫を嚙み潰したような」「砂を噛むような」「噛みしめる」「噛んで含めるように」みたいな表現が日本語にはありますからね。
顎関節の緊張を緩めることでココロの解放ができるのは、咀嚼筋が自律神経とシンクロしているという証左であると思います。。

