膝の痛みを「総力戦」で改善させる
膝の痛みを訴えられる方は多いです。診断もいろいろついています。多いのは「変形性膝関節症」ですけれど、実際には坐骨神経痛であったり股関節痛であったりを「膝が痛い」と認識しておられることも多いです。保険施術をやめてしまってから膝の痛みが主訴の患者さんを拝見することはほとんどなくなりましたが、時折は変わった症例を経験することもあります。
広島市のF医院さまで施術しているときのことです。膝の痛みが主訴の患者さんを拝見しました。整形外科で「半月板損傷」の診断は一応ついているけれど「よくわからん」と言われたそうです。たとえばここで私が改めて半月板損傷の検査をしても無意味なのはご理解いただけるでしょうか。画像診断の手立てもありませんし、徒手検査は痛みを伴います。わざわざ患者さんに痛い目をさせて「ああ、やっぱり半月板損傷ですね」としかつめらしく言ったところで何の解決にもなりません。
ただ、「半月板損傷」の診断がついた患者さんはどういうわけだか上部頸椎に問題があることが多いです。このケースでもちょっと変。それでまずその調整から始めました。そのあと硬膜のストレッチ、骨盤調整、膝関節の屈筋伸筋のバランス調整をやってから、足にちょこっとテープを貼付しました。
知ってる手技を全部出してきた感じですね。頭のてっぺんから足先まで変なところを見つけて調整していくスタイルを、私の私淑している先生(故人です)は「診断即治療」と言っておられました。まあセラピストは診断はできないのですけれど「鑑別」くらいのニュアンスなのでしょうね。
膝関節を専門家の整形外科医が診察されて「よくわからん」のであればたぶん膝関節とは直接関係のないところに問題があるのでしょう。それで膝の痛みを引き起こしそうなところを一通りチェックして問題のある所を調整していきます。総力戦ですね。
一通り調整が終わって、診察台から降りて痛みの変化を確認して頂いたら「楽になった」と喜んでくださいました。この間約15分です。
当たり前の話ですけれど半月板が損傷していてそれが痛みの原因であれば私には手も足も出せません。「半月板損傷を治した」のではなく「半月板損傷の診断が(一応)ついている膝の痛みを訴える患者さんにあれこれ手技を行ったら痛みが改善した」というのが私のやったことの医学的?な解釈です。
3「た」治療という言葉があります。「やった」「効いた」「治った」という経験則だけでエビデンスに欠ける治療。嘲笑のニュアンスでこう呼ばれるのですけれど私は補完医療はそれで必要にして十分、と思っています。