新型コロナウイルス後遺症の正体

コロナは一生治らない

新型コロナウイルスに感染した人は、コロナが治ってからもさまざまな後遺症に悩まされることが知られています。特に長引く後遺症としては、慢性疲労、ブレインフォグ、抜け毛、息切れなどが挙げられます。症状が治まってからも後遺症が出るかもしれない、というのはなんか不安ですね。それではどんな人に後遺症が残りやすいのでしょうか。

ハーバード公衆衛生大学院の研究で、新型コロナウイルス感染後の症状が長引く人の傾向として、次の二つが挙げられています。まずひとつは感染する以前から何かメンタルに症状があった人。例えば抑うつや不安症状などのメンタルの不調があった人は感染後、日常生活障害のリスクが高かったといいます。

もうひとつは新型コロナウイルスに対して不安や心配の強かった人。こちらもやっぱり感染後に後遺症に悩まされるリスクが高かったそうです。いずれにせよ「ココロの問題」がコロナ後遺症には大きくかかわっているということなのでしょう。

私が考案して施術のルーティンにしている手技があります。「鎖骨ストレッチ」という面白くもなんともない(失礼)名称で健康雑誌にも掲載してもらいました。心身のトラウマを抱えている方や、自律神経に問題のある方の鎖骨の下には圧痛点が出現します。肩鎖関節から胸鎖関節まで、丁寧に鎖骨の下を触診していくとどこかで「ぎえっ」というくらいの圧痛があります。その圧痛をカウンターストレインという手技で処置すると、例えば血圧が下がったり閃輝暗点が治ったり喘息発作が軽くなったり(酸素飽和濃度も改善)します。それから心理的なトラウマ、例えばPTSDなどにも有効です。

どうもこの手技は脳の偏桃体に作用するようです。偏桃体は人間の感情を司る部位ですが、強いストレスがかかったりトラウマになるような体験をしたりすると過剰に興奮します。偏桃体の過剰な興奮が自律神経のバランスを崩し、さまざまな症状になって現れます。「鎖骨ストレッチ」は偏桃体の興奮を鎮め、自律神経のバランスを回復させる働きがあるようです。

コロナウイルスの後遺症は、明らかに自律神経の障害ですから「鎖骨ストレッチ」は有効だろう。そう思って後遺症の患者さんの施術でもこの手法を使っています。それで患者さんは「楽になった」と言って喜んでくださいます。ただ、ひょっとしたらそれは自律神経の調整というよりトラウマの解放の要因のほうが強いのではないか。ハーバード公衆衛生大学院の研究についてのニュースを読んでからそんな風に考えるようになりました。

新型コロナが日本で広がり始めたころのイメージはまさに「業病」そのものでした。有名な方が罹患しては亡くなり、じわじわと患者数が増えてくる。それを伝えるマスコミの論調も、未知の業病に対する恐怖感を私たちに植え付けるのに十分でした。それから時間がたち、新型コロナの実態というのもわかるようにはなってきました。それでも新型コロナというのは(どういう理由で接種するのか今ひとつわからないワクチンも含めて)どこか得体のしれない病気である印象はそのままになっています。

そんな中、自分がコロナに罹患したとしたらどうでしょう。その恐怖、不安、絶望感は想像以上のものであると思います。別のところでも書きましたが新型コロナの後遺症は、背側迷走神経が優位になった状態、蛇に睨まれた蛙のようになすすべもない時の反応です。そういった反応が起きてきた要因の一つに必要以上に恐怖をあおる報道の影響があったことは間違いないと思います。

実はちょっと気になっていることがあって、この文章でもコロナ「後遺症」という書き方をしていますけれどそれは正確ではありません。正確には「罹患後症状」という名称になります。ある疾患なり傷病なりに罹患して、そのあとで出てくる症状のことを「続発症」と呼びます。後遺症というのは続発症のうち、生涯にわたって治らない症状のことをさします。それにもかかわらず「コロナ後遺症」という不正確な名称が使い続けられている理由。それはおそらく新型コロナに感染すれば一生治らないという呪縛なのだと思います。

その目的については論評する立場にありませんが、少なくともコロナ後遺症については自律神経を整えることで改善する可能性は十分にあると思っています。おそらくそれはコロナそのものがもたらした症状ではなく、誰かが作った呪縛によって引き起こされたトラウマだからです。

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