血圧が高ければ親指をしゃぶれ

上顎の奥にある口蓋骨を調整すると自律神経のバランスが整います。ゴム手をはめてこの骨に動きをつけていくと詰まっていた鼻が通ったり長年苦しんでいた頭痛が改善したりします。子供が不満があるときに親指をしゃぶるのも本能的にこの働きを知っていたからなのかも知れません。

定期的に伺ってクラニオセイクラルの施術を行っている心療内科で、血圧が乱高下するクライアントを拝見する機会がありました。血圧が不安定だとフラフラして日常生活がしんどい、そういうお話しでした。それで口蓋骨を調整してみるとみごとに血圧が落ち着いたのです。それならば、高血圧のクライアントのセルフケアにこの「指しゃぶり」が使えるのではないか。そう思った私は院長先生に進言してみました。

実は先生もちょっと血圧が高めではいらっしゃいます。指しゃぶりを行う前の血圧は143/87、脈拍は86でした。口蓋骨は左右にありますからまず左の口蓋骨の親指の腹を当てて「ちゅぱちゅぱ」と吸います。その時点での血圧は145/87、脈拍は90。ところが右側の口蓋骨をちゅぱちゅぱした後、血圧は123/69、脈拍は63に改善しました。

クリニックが忙しくてしんどいな、と感じたときに血圧を計ってみると200/120、脈拍が100以上というときがあったそうです。このときに指しゃぶりを行ったところ、血圧は140/80、脈拍は80を切っていたといいます。「指しゃぶり」を気に入られた院長先生は高血圧や自律神経に問題のあるクライアントのセルフケアとして奨めてくださることとなりました。

高血圧で受診したクライアントに「親指をしゃぶるんじゃ」というセルフケアがどう受け取られたのかはわかりませんが、先生のお話しでは学校の先生とか学者さんとか、インテリの方の方が熱心に指しゃぶりに取り組んでおられたというお話しでした。

知己の健康雑誌編集者さんが「何か変わったセルフケアありませんか」と言ってこられたときに私は迷わず「指しゃぶり」を挙げました。編集者さんも効き目に感心してくださったのですが雑誌の記事にする以上、指をしゃぶるのが何秒でインターバルがどのくらい、ということをマニュアルのごとく記事に記載しておく必要があるそうです。そうでないと読者は実践してくれないといいます。そこで「片方の口蓋骨に親指の腹を当てて5回ちゅぱちゅぱ吸って30秒インターバル、その後反対側の口蓋骨でもちゅぱちゅぱを行う」という基本形?が出来上がりました。そうやって晴れて健康雑誌の記事になった指しゃぶりなのですが残念ながら大流行にはなりませんでした。人前で大の大人が親指を吸う、というのはおしゃれではありませんし衛生的にも問題がありそうです。

そんなわけであんまり有名にはならなかった「指しゃぶり」ではあるのですが、効果は間違いなくありますから高血圧や鼻の詰まりに苦しんでいる方の中にはご自宅で親指をしゃぶる「隠れ指しゃぶラー」となられた方が、かなりの数おられるといいます。入浴時に浴槽に浸かりながら自分の親指をくわえて「ちゅぱちゅぱ」しておられる光景はなんだか不思議ではありますね。

追記です。令和8年8月4日発売の「女性自身」誌(8月18・25日合併号)にこの「指しゃぶり」が掲載されました。

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