生理痛とPMSと

蝶形骨はこめかみの骨

骨盤調整で生理痛や便秘が改善するというのはよく知られた話です。もちろん個人差はありますが。骨盤がゆがむと、骨盤内臓器が影響を受けます。「容器」の骨盤の動きが制限されると「中身」の臓器が正常に機能しなくなるというのは割と納得できる話です。そういう方の愁訴は、頭痛や腰痛と生理痛、肩こりと便秘がセットになっていることが多いです。

骨盤調整を教わった先生から、「初診の患者さんには生理痛と便秘の有無は必ずお尋ねするように」と習いました。骨盤のゆがみが解消するというか、正常な動きをするようになると主訴以外も同時進行的に改善してくるので、どのくらい主訴が良くなったかを知る上でのバロメーターでもあったのだと思います。

頭蓋骨をメインで調整するようになってからは、生理のタイミングが変わる、という話を伺うようになりました。頭蓋骨と骨盤はシンクロしていますから頭蓋骨の緊張が緩むと骨盤も緩む、それで生理が早まったりすることがあるのだろうと思っていました。

いちど、全く違う主訴で拝見していた患者さんから、PMSのご相談を受けたことがあります。PMSは「月経全症候群」とも言われ生理の始まる数日前から様々な症状が出現します。下腹部痛や頭痛、腰痛などの身体症状、イライラ感や不安、不眠、抑うつなどの症状が出現します。施術に通って頂くようになってからも生理は一度あって、その時はPMSの症状に変化はなかった、とのことですから問題は骨盤以外のところにありそうです。

頭蓋骨は全部で23個の骨が組み合わさってできていますが、その中心にあるのが蝶形骨(ちょうけいこつ)と呼ばれる骨です。この骨は頭蓋骨の中心にあって、他の頭蓋の骨すべてと関節しています。頭蓋骨の歪みを表現するときも、蝶形骨がどのように歪んでいるか、で表現されます。頭蓋の中で脳の前半部が蝶形骨に乗っかっているのですが、蝶形骨の中央部のくぼみ(トルコ鞍という名称がついています)に脳下垂体が乗っています。そうして脳下垂体は様々なホルモンを産生しています。蝶形骨が歪んでそれでホルモンの分泌に問題が起きたのがPMSの原因ではないか、と考えました。

それで蝶形骨を仔細に触診してみますと、どうも横方向にズレているような印象を受けます。蝶形骨を体表から触れることのできるのは「こめかみ」の部分だけなのですが片方が正常より引っ込んでいてもう片方が出っ張った印象を受けます。左右で圧痛の出方も明らかに異なっています。それで蝶形骨の側方転移と思われる圧痛点を調整してみました。そうしたら次の生理の時にはPMSの症状は出なかったそうです。

トルコ鞍、という名称の由来は「昔のトルコで使われた鞍と形が似ているから」なのだそうですが、馬の鞍なんてみんな同じようなものじゃないかと思うのは私だけでしょうか。

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