股関節と顎関節、補完医療の診かた
自転車に乗っていて横から自動車にぶつかられて以来、腰の痛みが取れないという方を拝見しました。その時は股関節をケガした、ということなのですが主訴は腰の痛み。仙骨を触診して圧痛をみつけて解放します。腰椎部には特に問題はなさそうです。
仰向けになっていただき顎関節を触診します。腰が痛いのになんで?という話なのですが顎関節と股関節とはシンクロしているということは、従前から多くのセラピストに言われてきました。
今回のケースでも咀嚼筋のひとつ、咬筋がひどく緊張しているので、これを緩めます。それから横から自動車にぶつけられたということですから頸椎を触診してみるとこちらにもえげつない圧痛があります。こちらも調整。
顎関節の動きを補助するように小さい金属粒を貼付して、痛かったように歩いていただきます。うまいこと腰の痛みは改善してくれたようです。このまま治ってくださるとうれしいのですが。
おそらく補完医療の強みはこれで、主訴、愁訴と一見関係なさそうなところでも同時に傷めた可能性のある部位はきちんとチェックします。普通「腰が痛い」という主訴の患者さんの顎関節とか頸椎とかを見るということはありません。もちろんケガをした部位、主訴のある患部は丹念に調べる必要があります。こちらについては視診や触診だけではなく、画像診断に頼らなければなりません。
イノチを救うとか重篤な後遺障害を残さないとか、そういうことに補完医療がかかわる機会は少ないです。でも、生命や生活の「質」について患者さんはもっと貪欲になられてもいいのではなかろうか、というのが補完医療を行う側の願っていることです。
痛みは放っておいたら日にち薬で治る?それはあり得ませんが、もしそうであったとしても痛みを我慢して過ごす数日間(場合によっては数年間)は非常にもったいないと思います。