慢性疲労症候群が休養しても回復しない理由

慢性疲労症候群という名称はご存知でしょうか。日常生活が著しく損なわれるほどの強い全身倦怠感、慢性的な疲労感が休養しても回復せず6か月以上にわたって続く状態を言います。

同時に発熱やリンパ節肥大、咽頭痛、頭痛、筋肉痛、関節痛、脱力感、睡眠障害、思考力低下、抑うつ、不安などの症状を伴います。

参考 厚生労働省 慢性疲労症候群診断基準

それでね、これらの症状なんですけれど、新型コロナウイルスのいわゆる後遺症、正確には罹患後症状に似ていませんか?

新型コロナウイルス罹患後症状は、どうやら背側迷走神経系が優位になったことで起きてくるようです。新型コロナという未知のウイルスに罹患したことを脳が、「絶体絶命のピンチ」と判断してすべての活動をシャットダウンして「凍りついた」状態が背側迷走神経系が優位になったときの心身の状態です。

背側迷走神経系は副交感神経に属します。普通副交感神経というと、リラックスした状態、安心した状態をイメージしますけれど「活動を制御する」という点が共通するんでしょうね。ちなみに従来私たちがイメージする副交感神経は、鰓弓神経とか腹側迷走神経系とか呼ばれます。

一般的に私たちが疲労した時は休養すれば回復します。ところが慢性疲労症候群の患者さんはいくら休養しても改善しません。どうしてか、と言いますと慢性疲労症候群の患者さんは疲労感は訴えていますが、疲労していないからです。もちろん発症の引き金になったのは過労やそれに伴う脳疲労であるかもしれませんよ。でも、現在動けないのは疲労(=エネルギーの消耗)が原因ではなく、現状を絶体絶命のピンチと認識した脳がすべての活動をシャットダウンしたことによるものです。

エンストしたりバッテリーが上がって動かなくなった自動車にいくらガソリンを入れても動くようにならないのと同様、慢性疲労症候群(や、新型コロナウイルス罹患後症状)の患者さんはいくら休養しても治らない、でしょう。繰り返しになりますが、慢性疲労症候群は副交感神経が優位になった状態、交感神経が働いていないから動けない状態です。復活するためには交感神経を賦活しなければなりません。

実は子供さんの不登校(の、少なくとも一部)も同じメカニズムによるものと考えています。朝起きられないのは疲労が回復していないからではなく活動のスイッチが入らないからだ、ということがわかってくれば対応法もおのずと決まります。

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