ハンディファンは暑さ対策になるか
外で作業する人が来ているファンのついた作業服は正式には「空調服」というらしいです。身体に風を通して汗の蒸発を促進して気化熱で体温を下げるのが目的だといいます。
これと似て非なるのがハンディファンです。女性がよく持ってる小さい扇風機みたいのの正式名称だそうです。空調服の方は胴体に風を送るけれどハンディファンで風を当てるのはほぼ例外なく顔ですよね。まあ人前で女性がシャツの中にが風を入れるわけにはいかないでしょうけれどね。
さて、両者の違いは何でしょうか。どちらも「暑さ対策」という点では同じですよね。でもハンディファンで顔に風を当ててもたぶんほとんど体温は下がりません。たとえば熱発の時でも、腋窩とか鼠径部とか太い血管が通っているところを冷やしたほうが効率的に体温を下げられるというのを私たちは知っているはずです。逆に言えば顔に風を当てることは体温を下げる方法としては効果的ではないことになります。
ハンディファンが普及する前にはみんなうちわやら扇子やらで涼を取っていましたけれど、この時扇いで(あおぐ、てこんな漢字を当てるらしいです)いる部位はこれもほとんどが顔です。ついでに言えば夏場の喫茶店でオジサンがおしぼりで拭くのも顔です。それはどうしてでしょうか。
心身をリラックスさせるのは副交感神経のうちの腹側迷走神経系です。「系」とか場合によっては「複合体」という呼び方をされるのは「顔とか首とか舌とか喉とか」の運動にかかわる脳神経と腹側迷走神経とが連動しているからです。つまり顔とか頸とかを刺激することで心身はリラックスするということになります。
暑さという不快な感覚をリフレッシュするためには顔に風を当てて「涼しい」と感じさせることが有効であることを、ヒトは本能的に知っていたということです。でも、それは体温を下げることにはあまり役立ちません。
暑さをしのぐということと高くなった体温を下げるということは必ずしも同じではないということです。ハンディファンは熱中症の予防にはなりませんからご注意を。

