その腰痛、すぐに病院に行ってください
放置すると危険な腰痛
腰痛には放置しておいても治るもの、市販の痛み止めや湿布で治るもの、整体や鍼灸、マッサージで治るものが大半です。しかし中には重大な病気が原因で起きている腰痛も存在します。内臓疾患や悪性腫瘍、骨折などが原因の腰痛は治療院では治せませんし、仮に楽になったとしてもそのままにしておくことは命にかかわってきます。セラピストの資格、免許の種類を問わずいわゆる民間療法にはおのずと限界がありますし、適応があります。「病院で治らなかった腰痛を治した」と吹聴するセラピストはたくさんいます。でもその反対、各種のセラピーを受けても治らない、むしろ悪くなるケースだってあるわけです。適正な治療を受ける機会を逃して手遅れにならないよう十分に注意してくださいね。
腰痛のプライマリ・ケアは整形外科
腰痛になったら、原則としてまず整形外科を受診されることをお勧めします。理由はこのブログでも再三書いておりますように、診断の手立てを持っているのは医師に限られるからです。画像診断を含め、医師ではないセラピストは診断の手段を持ちませんし、そもそも診断権を有しません。「そんなこと言っても、近所の整骨院でヘルニアを治してもらったよ」という方がおられるかもしれません。でも実際にセラピストが行ったのは「病院でヘルニアの診断を受けた腰の痛みを施術によって緩和させた」という行為になります。もし病院の検査を受けていない患者さんに対してセラピストが「あなたの腰の痛みの原因は椎間板ヘルニアだ」と告知していたのであれば(実際にヘルニアであったとしてもそうでなくても)医師法に抵触する行為です。診断権のないセラピストの発言は法的には「勝手に言ってるだけ」に過ぎないことは覚えておかれたほうがいいです。セラピストが対象にしているのはあくまでも痛いとかだるいとかの症状であって、少なくとも法的には傷病の治療を行っているのではありません。
「危険な腰痛」の症状
ですからもし、以下のような症状があったり起きてきたりしたときは、病院で診察を受けて心配な病気がないかどうかしっかり検査してもらってください。その結果問題がなければそのうえでセラピストの施術を受けるかどうかを決められたらいいと思います。
1.安静にしていても腰が痛い。だいたいの腰痛は、痛みが出る姿勢とか動きとかが決まっています。「中腰になると痛い」「前かがみになると痛い」「痛くて腰が伸ばせない」などなど。そうしてそれ以外の時は痛みを感じないのが普通です。じっと安静にしていても腰が痛いとか、就眠中、腰の痛みで眼が覚めてしまうとかいうときは注意が必要です。
2.排泄しにくい。トイレに行っても排泄できないというときは、急いで病院に行ってください。脊髄に何らかの問題があってそういう症状が出ることが多いです。便秘症とか尿のチョイ漏れとかと混同してしまうのは危険です。
3.痛みがだんだん広がっていく。例えばはじめは腰だけが痛かったのに、脚のほうに痛みやしびれが広がってきた、というケースです。通常の経過と明らかに異なりますから一度病院で診察してもらう必要があります。
こういった症状を患者さんが訴えれば、まともなセラピストなら医師の診察を受けることをすすめます。患者さんが受診を渋っても、無理にでも病院に行くことをすすめるはずです。そうしない、またはこれらの訴えを患者さんから引き出せないセラピストであれば通院する価値はありません。
「好転反応」という言葉が出てきたら危険
それからもう一つ。こういう訴えが患者さんからあったときに「好転反応」であると説明するセラピストがいます。なかなか症状が良くならないとかかえってひどくなったという訴えがあったときにもこの言葉が出てくることがあります。「好転反応」については別の機会に書くつもりでいますが、骨格を調整したり鍼灸の施術を行った時に重だるさを感じるとか痛みがちょっと増すとかいうことを指します。今まで悪いなりにカラダはバランスをとってきたわけです。それが施術によって崩され、本来のバランスを取り戻す際に一時的に感じる違和感が「好転反応」です。東洋医学では「瞑眩(めんげん)」と呼びます。上記の症状は好転反応ではありません。セラピストから「好転反応」という言葉が出てきたときも即座に通院をやめて病院を受診してください。