あなたが受けているのは本当に「マッサージ」ですか?

マッサージ

マッサージ、お好きですか?街中を歩けばそこここに「マッサージ」の看板が出ています。「リラクゼーション」とか「整体」とかいうのもあります。それらの区別がちゃんとつくのはおそらく業界の人間だけかもしれません。(業界にいる人でもわかっていないこともある)

「マッサージ」を適法に行うことができるのは「あん摩マッサージ指圧師」の有資格者に限られます。例外的に理学療法士と助産師もマッサージの業務を行うことはできますが、あくまでも限定的です。あん摩マッサージ指圧師の資格を取るためには、3年以上学校に通って厚生労働大臣の行う国家試験に合格する必要があります。マッサージは厚生労働大臣免許があって、初めて行うことができる医療行為なのです。

ところが巷の「マッサージ」の看板を上げている施術所には、あん摩マッサージ指圧師の有資格者が在籍していないことも多いです。そう、無資格でのマッサージが日本では常態化しているのです。おそらく日本にはあん摩マッサージ指圧師の人数の何倍ものマッサージ施術所が存在します。言葉を選ばなければ、ほとんどがモグリの営業ということです。

どうしてそんなアナーキーなことになっているのか。まず日本にはリラクゼーション業という職業があります。日本標準産業分類に「手技を用いて心身の緊張を弛緩させるための施術を行う事業所」と定義されています。それってマッサージと違うか?と突っ込みたくなりますが国が「違う」というお墨付きを与えてしまいました。あん摩マッサージ指圧師は厚生労働省の管轄なのですが、こちらは総務省です。それからリラクゼーションに従事するセラピストの資格要件は存在しません。つまり誰でもやろうと思えばマッサージまがいの行為を行うことができるということになります。

それから名称の問題。例えば日本で医師でないものが「オレは医師だ」と発言すればそれだけで医師法違反に問われます。これを医師の名称独占、と言います。ところが同じ厚生労働大臣免許を有するあん摩マッサージ指圧師は名称を独占しません。つまり免許を持たないものが「マッサージ」を標榜しても、そのことだけでは罪に問われないということです。

もちろん「マッサージ」を標榜している事業所にあん摩マッサージ指圧師が在籍していなければ看板に偽りあり、ですから景品表示法に抵触はするでしょう。それからあん摩マッサージ指圧師でないものが「マッサージ」の施術を行うことは当然法律で禁じられています。ただ、正直な話マッサージの手技とリラクゼーションの手技と、きちんとした線引きは難しいと思います。それをいいことに無資格者がやりたい放題なのが、今の「マッサージ」事情ということになります。

繰り返しになりますがマッサージは医療行為です。そのために免許に資格要件が定められています。リラクゼーションでは免許も資格要件もありません。ということは人のカラダの仕組みや働きについてほぼ(全く?)素人があなたの身体に施術を行っているわけです。怖くないですか?言ってみれば運転免許を持たない人間が他人を乗せ手で公道で自動車を運転しているようなもんですよ。あなたはそういう人物に自分の大切な命を預ける気になりますか?

「ブラックジャック」みたいな行為が日常茶飯に起きているのが日本の手技療法業界です。腕がいいほど、高度な技術を使うほど、基本的な知識の欠如は高いリスクになります。

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