骨折の合併症が2年たっても治らない

コーレス骨折

手首の骨折の合併症??

二年前に手をついて転倒、手首を骨折(橈骨遠位端定型骨折 またはColles骨折)、骨折そのものは観血的に整復したのだけれど手関節がまだ痛いという患者さんがおいでになりました。

この骨折にはいろんな合併症があって、柔道整復師の国家試験でもよく出題されるところです。手根骨というのですがサイコロのような形の骨が8つ組み合わさって、手のひらを構成しています。骨折するくらいの勢いで手のひらをつくとこれらの骨が骨折したり脱臼したりすることがあります。

緊張を緩める

もちろん手首の骨折を診察するときに十分に画像診断はされているでしょうから、骨折や脱臼は考えにくいです。手首をいろんなふうに動かしてみて、一番痛みが楽になるポジションを探します。それからその位置でしばらく保持していると、手首の緊張が緩んで動かしても痛くなくなります。

肘関節や肩関節の動きの良くないところを調べながら調整していきます。最後は鎖骨。上肢の動きの一番中枢は鎖骨ですから念入りに触診します。鎖骨が骨折するときの機転も、手首の骨折と同じように手をついて転倒したときが多いですから、仮に鎖骨自体に骨折がなかったとしても周辺の組織には当然ダメージは残っているはずです。

それをみつけて解放。あとはちょこちょことテープを貼付しておしまいです。

骨格がズレるというモデル

それでは私がどういう事をしたのか、と言えばたぶん「骨格の動きを回復させた」ということだと思います。私が手技を教わったときには「骨格がズレる、歪む」という表現が使われていました。この言葉は患者さんの納得を得やすいので使うほうも楽です。ただ、術前術後で画像的に差がないことなどから例えば医師からの反発も強いです。

脊椎や骨盤についても話は同じことで、「頸椎がズレている」「骨盤が歪んでいる」という表現はいわゆる西洋医学とセラピストのあいだに無用な対立を生んでいるようには思います。

ただ誤解のないように書いておきますと、画像診断が不必要であるとは私は思いません。画像的に骨折や脱臼、その他の器質的疾患が存在しないことが判明しているからこそ、画像診断に映ってこない「動き」に焦点を当ててアプローチすることができるわけですよ。

もともとは骨折や脱臼の手当てとして発達した柔道整復ですが、これだけ整形外科のプライマリケアが発達している現在、それにとってかわることはもちろん代替機能を果たす役割もしんどいと思います。そうではなく現代医学とは異なる考え、手法で現代医学を補完するというのが柔道整復のこれからの役割だと思うのですがいかがでしょうか。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です