腰痛をどこで診てもらうか
腰痛をケアする施設はあっちこっちにあるけれど
腰が痛いというのは憂鬱なものです。できるだけ早く楽になりたい。でも、検索をかけても「整形外科」「整骨院」「接骨院」「整体院」「カイロプラクティック」、それから「オステオパシー」と、腰痛治療を標榜するところはたくさんあります。あなたの腰痛はいったいどこへ行けば治るのでしょうか?
まず、激しい痛みの時は整形外科を受診されることをお勧めします。上に挙げたうち医師の診察を受けられるのは整形外科だけです。きちんと画像診断を含む診察を受けて、緊急を要する疾患がないかどうかを診ていただくことが何よりも大切なことです。例えばそこで痛み止めの処置をしてもらって、それきり腰痛が治ってしまうことだってあるのです。「それは根本治療ではない」などという雑音には耳を貸す必要はありません。大切なのはあなたの腰痛が治るかどうか、という一点であることをお忘れなく。いわゆる民間医療と呼ばれる療法を受ける前にも医師の診察を受けておかれたほうが安心なのは言うまでもありません。
整骨院はプライマリ・ケアを行えるか?
いわゆるギックリ腰、急性腰痛に限って整骨院、接骨院での施術がプライマリ・ケアの代行になると思います。整骨院と接骨院は同じもので、柔道整復師が施術を行います。柔道整復師は厚生労働大臣免許を受けた正式な医療資格ですから、一定の医学知識を担保されています。ちなみにこのブログの筆者も柔道整復師です。「急性腰痛に限って」と書いたのは柔道整復師は医師ではありませんので画像診断の手段を持たないからです。超音波を応用して骨や軟部組織を「観察」する設備のある整骨院も増えてきましたが、医師の画像診断の代わりになるものではありません。急性腰痛であっても何か疾患が隠れている可能性はゼロではありません。そういう時には通常とは違う経過をとりますから、それをきちんと判断してしかるべき医療機関に紹介できるだけの医学知識を有している柔道整復師であれば、医師の診察を受ける前に受診しても大丈夫、ということです。
整形外科で診断はついたけれど腰痛は改善しない。あるいは画像診断で「異常ありません」といわれたけれどやっぱり腰が痛い、そういうときは整体やカイロプラクティック、オステオパシーが著効を示すことが多いです。繰り返しになりますがあくまでも整形外科で画像診断を受けてからこれらの施術を受けるようにしてください。
いわゆる整体師の正体
整体やカイロプラクティック、オステオパシーを施術するのはどんな人でしょうか。実はこれらの療法を標榜している治療院はそれこそ玉石混交、いろんなところがありますから注意が必要です。まず厚生労働大臣の免許を受けたセラピストが手技を行う施術所、具体的には柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師が整体やカイロプラクティック、オステオパシーを行うパターンです。うちの整骨院は柔道整復師がオステオパシーの施術を行いますからこのパターンに分類されます。
不思議なことに日本では、「人体に有害の虞(おそれ)」がなければだれでも手技療法を行ってもいいという都市伝説?があってあっちこっちで見かける整体院、カイロプラクティック院などは何の国家資格も持たない自称セラピストが施術を行っていることが多いです。厚生労働大臣免許のセラピストを養成する学校を卒業しても、国家試験に合格できなかった人がこういう治療院?で施術を行っているという噂をどこかで読んだことがあります。注意していただきたいのは今問題にしているのは技術のうまいヘタではない、ということです。
何の免許もなくても、とんでもなく手技のうまい人は存在します。でもそういう人であっても医学知識が絶対的に足りないことがほとんどです。厚生労働大臣免許を取得しようと思ったら、どの資格を取るにせよ三年間以上専門学校か大学で専門知識と技能を習得して、そのうえで国家試験に合格しなければなりません。整体やカイロプラクティック(そのほかリフレクソロジーもオステオパシーも全部同じです)のいわゆる「スクール」は長いところでも一年か半年、短ければ三日くらいで免許皆伝、セラピストとして認定されてしまいます。逆にそれで人のカラダに手をかけるに十分な医学知識が身に着くと考えるほうがどうかしています。
セラピストが厚生労働大臣免許を所持しているかどうかは施術所のホームページを見ればわかります。有資格者はわざわざ隠す必要がありませんからたいてい自分の資格をきちんと標榜しています。