むち打ちの原因は追突だけではない
追突「以外」が原因のむち打ち
むち打ち、というと運転中に追突されて発生するものと思われがちですがほかの原因で起こることもあります。
例えば車庫のシャッターを半開きにした状態で屈んで掃除をしているとき。シャッターが半分降りているのを忘れて勢いよく立ち上がって頭をぶつけた、というケース。この時はぶつけた頭のほうが気になりますが(もちろんこちらも大事です)、頸椎を同時に傷めていることが多いです。
しりもちをついて転んだケースでは気になるのはやっぱりお尻の周辺ですよね。それから年配の方では背中の(胸腰椎移行部)骨折を起こすこともありますからそちらは念入りに検査されます。ででも同時に傷めている可能性のある頸椎はあんまり気にしてもらえません。
ようは頸椎を傷めた、という認識がないまま放置されているむち打ち損傷が結構な数、存在するということです。原因がよくわからない頭痛がずっと続いている、とか頸の重だるい不快感が気になるとかいう方は決して珍しくありません。
隠れたむち打ちに気づかないでいると
それから怖いのは、むち打ち(頸椎捻挫)を放置していると頚部交感神経症候群に移行してしまうことです。いわゆる不定愁訴があっちこっちに出現します。患者さんは頭痛、めまい、耳鳴りなどのほか倦怠感やら手のしびれ感やらさまざまな症状に悩まされることになります。気の毒なことにこれらの不定愁訴には他覚所見がないことも多く、しんどさを訴えても医療機関では相手にしてもらえないことがあります。
私が拝見するのはこの段階になってから、ということが多いです。「むち打ちしました?」とお訊ねしても「いいえ」という返事が返ってくることが多いのですが、むち打ちで傷める頸椎(3,4,5番が多い)を触診すると明らかな圧痛があります。頚部交感神経症候群に移行する前であれば頸椎の調整だけで「原因不明」の頭痛や首の重だるさが軽快するのですが、不定愁訴を改善するのには少し時間がいることが多いです。この時は頭蓋仙骨療法が奏功します。
原因不明の症状の「原因」は、「隠れむち打ち」かもしれません。