軟口蓋の調整
軟口蓋は花粉症のツボ
口の中、上顎の奥を「軟口蓋」と言います。ここで触れるのが口蓋骨の水平版です。例えば花粉症で鼻が詰まったというとき、ここを調整すると鼻が「すっ」と通ります。いびきのひどい人は水平版が肥厚しているので、これを指圧してうっ血を散らすときれいに治ります。
風邪で喉が痛い時も水平板を調整すると痛みはなくなりますし、声枯れまで改善します。軟口蓋がうっ血していると、鼻やのどの問題に影響するということですね。
東洋医学の雑誌を読んでいると、中国の医師が鍼灸で花粉症の治療をしている、という記事がありました。「下関」のツボに鍼を打つと花粉症が改善するそうです。「下関」はツボの名称としては「しものせき」ではなく「げかん」と読みます。このツボに鍼を打つと自律神経のセンターのひとつ、「翼口蓋神経節」を刺激して自律神経のバランスが調整されます。結果として花粉症が改善するということが記事には書かれていました。
軟口蓋の調整で自律神経が整う
口蓋骨の調整についてはどんな症状に使うのか知らないままにやり方だけは習いました。翼口蓋神経節の話を読んで、初めて臨床と口蓋骨がつながった感じです。言われてみれば口蓋骨は自律神経の「カギ」とされる蝶形骨と隣接しています。それなら口蓋骨を調整すると、自律神経が整うかも。そう思って意識して口蓋骨の調整をルーティンの手技に入れてみると、鼻詰まりや頭痛などのほか、血圧も下がります。後鼻漏の患者さんの口蓋骨を調整すると膿がちゃんと排出されます。もちろん花粉症にも有効です。
子供がしゃぶるのは「必ず」親指であるわけ
子供が自分の指をしゃぶることがあります。この時は親指をしゃぶりますよね。(昔流行したモンチッチを思い出してみてください)どうしてか、というと親指を口の中に入れたときだけ親指の腹が軟口蓋に当たって口蓋骨を刺激できるからです。何かの味見をするときに指先を使う場合は大体が人差し指ですよね。この時は指の腹が舌に当たります。同じ「指を口の中に入れる」という行為でも目的によって使う指が違う、ということです。そうして子供が親指をしゃぶるのは退屈しているとかつまらないとか、何らかのストレスを感じているときです。そういえば中学校の同級生に、学校で授業中に当てられると親指をしゃぶる癖のある子がいました。そうやってストレスをやり過ごしていたのでしょう。
自分で親指をしゃぶるとストレスはなくなる
口蓋骨の調整はかなりの高等技術で、セルフケアにはなじみませんが子供が指をしゃぶる要領で軟口蓋が調整できないものか、ということを思いつきました。長らくご指導いただいている広島市内の心療内科医、F先生がご自分で指をしゃぶって血圧が下がることを確認してくださいました。
ちょっと毛色の変わった高血圧のケアということで健康雑誌「壮快」2021年12月号の高血圧特集に、F先生やほかの医師の原稿と並んで掲載していただきました。F先生はその後も高血圧の患者さんに「指しゃぶり」を勧めてくださってちょっとだけブームになりかけたのですが、大の大人が指をしゃぶることへの躊躇と、衛生上の問題からあんまり流行はしませんでした。
開発者?としては大変残念な結果となったのですが、入浴時などにやってるよ、と時々患者さんに声をかけていただいています。もちろん花粉症にも頭痛にも、その他の自律神経の問題にも指しゃぶりは有効です。ぜひお試しを。