「えええっ!整骨院やのに保険使われへんの?」

「整骨院」、「接骨院」というのは一般的に柔道整復師の施術所を指します。ただし、施術所によってやっていることが大きく違います。例えばあなたがギックリ腰になったときに、どこで診てもらえばいいでしょうか。

整骨院にも健康保険を使えるところがあります。(厳密には療養費、と言って医療機関の保険取り扱いとは制度的に異なりはしますが)そういうところは看板に「各種保険取り扱い」とか「療養費支給申請できます」とかとかいう文言がちゃんと書かれています。

ただし整骨院で健康保険を使った施術を受けるのには制約があります。保険が使えるときは「骨折、脱臼、打撲及び捻挫(肉離れ含む)の施術を受けたとき」となっています。ギックリ腰はですから「腰部捻挫」として健康保険を使った施術が受けられる、ということです。

柔道整復師は医師ではありませんから、「捻挫」であるかどうかを診断することができません。このことが後々健康保険組合などと齟齬をきたす原因となることがあります。「それは捻挫ではなくて慢性の腰痛症ではないのですか」みたいなことを言って保険の取り扱いにクレームをつけてくることもあります。施術所だけでなく患者さんにまで照会をしつこくかけてくる健康保険組合もあります。会社によっては「整骨院ではなく、整形外科を受診するように」と社員に指示するところもあるといいます。ずいぶんと整骨院も嫌われたものです。

それから以前にも書いたことがありますが、整骨院が健康保険にプラスして鍼灸や骨盤調整などの自費治療をオプションとして奨めてくることがあります。これが結構高価で、健康保険を使うメリットが消し飛んでしまうくらいです。言ってみればこの場合、健康保険は「おとり商品(卵1パック10円、みたいな)」の役割です。それは医療を行うものの態度としてどうか、と個人的には思います。

逆に当院のように健康保険を取り扱わない整骨院も最近は増えてきました。一般の医療機関では改善しない症状をとりあつかう、とか短期間で完治を目指す、とか言うところを目指すとおのずとそのようなスタイルになるでしょう。もちろんそういう整骨院ではサイトに健康保険を取り扱わない旨や一回当たりにかかる費用について明記されていることと思います。当院だってサイトのあっちこっちに自費である旨載せていますし、料金だってちゃんとわかるように載せていますよ。

ところがどういうわけか、ご予約いただいて来院した時に、健康保険証を出そうとする方がここしばらく続いたのですよ。それで「うちは健康保険は扱っていません」というと、「ええっ」と驚かれます。もちろん「保険が使えないならもういいわ」とお帰りになっても当方はどうも思いませんけれど、「せっかく来たんだから…。」と言って自費での施術を受けられても、どこか釈然としない表情で帰られる方を見るのがつらいです。なんか「ぼったくり」にあったような気分になられるのでしょうね。ウチは明朗会計なんですけれど。そういう時は這うようにしていらした腰の痛みがきれいに取れても、患者さんも私もなんか楽しくないです。

整骨院、接骨院を受診される方にお願いです。近くにあるから、だけで施術所を選ぶのは避けてください。検索して、「ここよさそうだな」と思われたらサイトをご覧になってください。打撲や捻挫など、ケガを診てもらうのなら健康保険を扱っているところがいいです。よそで治らなくてずっと困っている症状(これは整骨院では保険施術の対象ではありません)や、とにかく早く治してほしいという方は自費専門や自費でのオプションのある施術所がよろしいかと思います。費用がいくらかかるかについても、まともな施術所のサイトであるならわかるように明記してあるはずです。わからなければメールや電話で聞いてみましょう。そういう問い合わせにきちんと答えられるかどうかも、整骨院を見分ける材料になるでしょう。

大切なお体と健康を預ける施術所です。適当に選ぶのではなくご自分のニーズと提供される施術とがマッチしているか、どうぞもっと慎重になってください。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です