整体で骨がボキボキ鳴るのは歪んでいる骨が矯正された音?
整体やカイロプラクティックなどで背中や首の骨を調整すると「ボキボキ」と音がすることがあります。専門用語?でクラッキングと言います。施術を受けている側は一種の爽快感を感じますし、そのあともなんだか身体が軽くなったように感じます。
施術者のほうも「ボキボキ」と鳴るとなんだか手技がきれいに決まったような気がします。整体を教えている所ではクラッキングが「歪んでいた骨が正しい位置に強制されたときの音だ」と教えるところもあります。
それではクラッキングというのはどういう状態なのでしょうか。1900年代の半ばにイギリスの解剖学者がこのことを研究した論文があります。指の骨をポキポキ鳴らしてその瞬間をレントゲンで撮影してみるとそクラッキングが起きた瞬間に関節に気泡が発生するのが認められたと言います。関節には運動を滑らかにするために滑液が存在します。関節を引っ張って関節内の圧力が下がると、滑液中に溶解していた二酸化炭素が気化し気泡になります。その気泡が壊れる時の音がクラッキングだ、というのが科学的に証明された「ポキポキ」の正体です。
ちなみに一度クラッキングが起きると直後に同じ操作を繰り返してもクラッキングは起きません。そのまま放置して約20分後に再びポキポキ鳴るようになるのですが、これは二酸化炭素が滑液に再び溶けるまでに要する時間と等しいそうです。
クラッキングを起こすことを目的に、関節に急激な力を加えることを「スラスト」と呼びます。本来「thrust」は「急圧」とか「急突」という意味ですが関節を捻じるのも引っ張るのも手技療法の世界ではみんなスラストです。それでね、若者(最近はオジサンも)の中に、自分で首や背中をボキボキ鳴らす人がいます。自己スラストですね。
自分でやる分には危なくはないのでしょう。でも、身体がかったるいからと言って自己スラストを繰り返し行うのはよろしくないです。身体のだるさの原因は筋肉の緊張です。(そのまた原因はストレスだったりするのですが、今はそれには触れません)自己スラストを行うことで緊張は解除されて爽快な気分にはなります。でもそれを繰り返すことで背骨をつないでいる靭帯が伸びて緩んできます。靭帯が緩くなって脊椎が不安定になると、それを防御するために周囲の筋肉が緊張して脊椎を守ろうとします。完全な悪循環。スラストを受けるのならちゃんとトレーニングを受けた術者にやってもらいましょう。