温感シップと冷感シップは温湿布や冷湿布ではない

湿布

捻挫したり打撲したりしたときに、いわゆるシップ剤を使われたことはあるでしょうか。その時、温感シップと冷感シップ、どちらを使われたでしょうか。

たとえば足を捻挫して、整骨院にかかったとします。けがをしたばかりで炎症を起こしていますから患部を冷却します。そうやって腫脹や痛みを軽減させます。急性期の症状が無くなったら、今度は温めて代謝をよくします。冷やすときには氷、温める時はホットパックを使います。

急性期は冷やし、急性期を過ぎたら温める。何の不思議もない話のように思われます。

それで薬店でシップ剤を購入するときも、「急性期は冷感シップ、急性期を過ぎたら温感シップ」と考えて購入する方が多いです。場合によっては薬店(薬局ではなくドラッグストア)でそういう説明がされることもあるかもしれません。でもそれ、正しくありません。

お手元に温感シップと冷感シップがありましたらパッケージを裏返して成分表示を確認してみてください。おそらくほとんど同じ。違うのは冷感シップには「l(エル) メントール」温感シップには「トウガラシチンキ」がそれぞれ含まれているくらいでしょう。これが「冷たく」または「温かく」感じさせるための成分です。効果効能はどちらも消炎・鎮痛で全く同じです。

つまり冷感シップに患部を冷やす作用はなく、温感シップに温める作用はないということです。単に皮膚が冷たくあるいは温かく感じるだけのことです。ようは気分の問題。冷感シップのパッケージに寒色系の色が多用され、温感シップのそれがたいていは暖色系なのも同じ狙いです。

患者さんに冷感シップと温感シップの違いを聞かれたときの私の得意のセリフがあります。「冷感シップを貼っておいてもスイカは冷えへんし、温感シップを徳利に貼っても燗はつけへんでしょ?」

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