足底腱膜炎と側頭骨
足底腱膜炎はご存知でしょうか。踵の内側に痛みが出現します。なんとなく発症することも多いのですけれど、外傷性のものもありそうです。ほかならぬ私の経験です。電車に乗り遅れまいとダッシュした時に踵のあたりで「ぶちっ」という感触があってそれから足底腱膜炎に移行したことがあります。もちろんたいそう痛かったのですが「こんなふうにして足底腱膜炎が起きるのか」と感心したことを覚えています。
治療そのものは簡単で、カウンターストレインという手技を使います。圧痛をモニターしながら足根中足関節を調整するとその場で痛みが減ることが多いです。伸縮性のテープを貼付したりもします。
頭蓋仙骨療法を臨床で使うようになって不思議なことに気が付きました。頭蓋骨で耳のあたりの骨を「側頭骨」と呼びます。基本的には聴覚とかバランスの問題にかかわる骨です。例えば滲出性中耳炎とかめまいの患者さんは、側頭骨の動きがよくないです。
ほかの愁訴がある方でも側頭骨に制限のある方は結構おられます。藤本靖先生の本を読んでいると、耳はストレスの入り口(のひとつ)であるから側頭骨は緊張しやすいのだそうです。
それで、側頭骨の固い人に、足底腱膜炎でお困りの方が時々いらっしゃるのです。ほかの愁訴で来院されていて何かの拍子に「実は足底腱膜炎があって、」ということをお話しになります。「ああ、それやったら初めにおっしゃってくださればよかったのに」とか言いながら施術することが実際続いたりします。
なんでそうなるのかはわかりませんが、側頭骨と足底腱膜炎には何らかの関係があることは間違いないとは思っています。うちの整骨院においでになって側頭骨の治療をしているときに、患者さんの脳内に存在する何らかの存在(アプレジャーのいうインナーフィジシャン:内なる治療者)が「これやったら足底腱膜炎も一緒に治るんと違うか」と考えてアピールするのだと思います。インナーフィジシャンが大阪弁で喋るかどうかは知りませんが。
側頭骨のセルフケアに「耳ひっぱり」というのがあります。頭蓋仙骨療法の「Temporal Ear Pull」をセルフケアで行えるようにアレンジしたものです。やり方は簡単で、両方の耳を自分の指でつまんで、ごく軽い力で左右に引くだけです。引っ張っている時間は2、3分くらい。足底腱膜炎のセルフケアのタオルギャザリングと併用するときっと効果的だと思います。