線維筋痛症ならびに類似の症状
広島市のF医院さまに定期的にオステオパシー整体の施術に伺っています。院長先生が東洋医学や補完医療に造詣が深く、たまさかとあるセミナーでご一緒させていただいたときの世間話がご縁の始まりでした。おかげさまで普通のセラピストでは多分施術する機会のない疾病や症状に施術する機会に恵まれたことは私の臨床人生にとって大変ありがたいことであり、またオステオパシー手技の適応の広さを改めて認識できる機会でもありました。
線維筋痛症もそんな経験のひとつです。線維筋痛症というのは、身体のあちらこちらが激しく痛む病気です。炎症所見や自己免疫の異常などはなく、患者さんは診断がつくまであちらこちらの医療機関を渡り歩くことになります。診断基準が存在していてそれに適合した人だけで200万人の患者さんがいるといいます。逆に言えば繊維筋痛症とは診断されていないけれど、全身の激痛と随伴する症状とに苦しんでいる人はもっと存在していることになります。
治療法として薬物療法のほか、鍼治療やリハビリテーションとしてヨガが推奨されたりします。炎症症状がありませんから一般的な「消炎」鎮痛剤は無効なことが多いそうです。F医院さまでも数名の線維筋痛症患者さんやそれに類似した症状の患者さんに施術をしてきました。効果のほどはと言いますと、まず、施術後は痛みが軽くなります。なかなかそのまま軽快とはいかないのですが、ずっと終わりのないような痛みに苦しんできた患者さんはそれだけでも喜んでくださいます。はじめのうちはなかなか反応してくださらないこともあります。それでも定期的に施術を継続していると、徐々に症状が改善していくのを認識していただけるようです。
ヨガや瞑想が線維筋痛症に有効なのは、線維筋痛症が自律神経の混乱とか暴走によるものであることを示唆しているということでしょう。事実、線維筋痛症の患者さんは痛みや疲労感以外に認知や記憶、睡眠の障害、頭痛、温度や音、光への過敏性などの症状が見られます。そうであれば自律神経を調整する頭蓋オステオパシーの手技に反応してくれるのは当然のことかもしれません。
近年になって、鎖骨下の圧痛を処置してストレスやトラウマを消すことができるようになってから線維筋痛症の症状改善の成績が上がってきたように思います。痛みがストレスになり、そのストレスが痛みの原因になるという悪循環を断ち切ることが奏功しているのかもしれません。