ストレスと腰痛の微妙な関係

骨盤調整

内臓の不調や疾病によるものを除けば、腰痛の原因は腰周りの筋肉の緊張が原因になっています。筋肉が緊張した状態で重いものを持ち上げたり、不意に立ち上がったりしたときに固くなった筋肉が損傷するケース。緊張した筋肉が骨盤や脊椎など骨格を転位させたケースが考えられます。そういう意味では骨盤や脊椎のズレとか歪みとか亜脱臼とか呼ばれる現象は腰痛の原因というより筋緊張の結果ということができるでしょう。

実際、腰痛患者さんの筋肉はカチカチに緊張しています。実際には腰周りだけではなく腹部も下肢の筋肉もすべて緊張しています。従来の腰痛治療はまず緊張した筋肉を緩めます。電気刺激や温熱療法などの物理療法を使うか、手技療法やヴァイブレータなどの刺激を加えるか、いずれかの方法で筋肉の緊張を緩和します。

それから骨格の調整を行います。整体とかカイロプラクティックとかオステオパシーとか名称は様々ですし、よって立つ理論も異なりますがいずれにせよ正常位置から逸脱した(といっても脱臼のように明らかな転位は見られません)骨格を復位させます。これで一件落着のはずなのですが、ちゃんと復位したはずの骨格が元に戻ってしまいこその痛みも元通り、というケースもかなりあります。原因は筋肉が再び緊張したからです。

それならどうして筋肉は緊張するのか?というと原因はストレスです。ストレスを感じると交感神経が優位になります。交感神経優位になると血圧は上昇し、脈拍は早くなります。そうして筋肉は緊張します。緊張した筋肉は損傷しやすくまた骨格転位を引き起こしやすいというのは最初に書いた通りです。いくら筋緊張を緩和しても骨格を調整しても、根本原因となるストレスをそのままにしておいたら、早晩元に戻ってしまいます。

急性、慢性を問わず腰に痛みがある人は心理的なストレスを感じていることが多いです。この場合、腰痛を起こす原因としてのストレスがまず存在します。例えばものすごく忙しい時、出張の前日などににギックリ腰を起こしたという方は結構おられるのではないかと思います。そうして腰が痛むこと自体が今度はストレスになります。腰痛のためにやりたいこと、やるべきことができないのはものすごいストレスになりますよね。そのストレスがさらに筋緊張を促進し、腰痛を増悪させます。悪循環です。

それではその悪循環をどこで断つのか。まずひとつは一時的にせよ、痛みを完全に止めてしまうという方法があります。例えば病院でのブロック注射は、「効かない治療」の代表選手のような扱いを受けています。でも実際はブロック注射だけで腰痛が「治って」しまう方が一定数おられるそうです。もちろんブロック注射の効果は麻酔薬が効いている間に限られるはずです。その期間を超えても痛みが再発しないということです。手技療法や物理療法で痛みが「治って」しまうケースも同様でしょう。一時的にせよ痛みがなくなることで痛みとストレスの悪循環がそこで断たれた、ということです。ただ残念なことにこの方法はケースバイケースで有効な時とそうでない時があります。

それからもうひとつ。交感神経優位を副交感神経優位にもってゆく、言い換えれば心身をリラックスモードに切り替える方法があります。常に心身が緊張している状態を一度リセットして、いっぱいいっぱいになった脳をリラックスさせてあげると痛みと緊張の悪循環が解消されます。どこへ行ってもよくならない腰痛の患者さんが、頭を軽く触るだけで爆睡してしまい、眼が覚めると腰痛がきれいに消えていたという魔法みたいな話はうちの整骨院では珍しくないのですが、その種明かしが「脳のリセット」なのです。

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