ぎっくり腰で動けない時は足首を回す

骨はひとつながり

リハビリ職員時代に習ったこと

ぎっくり腰。何かのはずみで急に腰が痛くて動かせなくなった状態です、ご経験はおありでしょうか。整骨院を開業する前、整形外科のリハビリ室に少しの間お世話になったことがあります。整形外科でありながら骨盤調整(昭和の終わりごろの話ですよ)の施術やらカッピングやら、普通のリハビリテーションでは使うことのない治療法が行われていました。

鍼灸マッサージ師の先生がお二人おられて、全く未経験の私に(それまで予備校で現代国語を教えていました)丁寧に物理療法、手技療法を教えてくださいました。それで、初めに教わったことのひとつに、「足首を回す」というのがありました。

ギックリ腰で動けない人には、足首を回す

ぎっくり腰で動けなくなった人に施術するのにどこから始めるか。そういう時に足首を回します。患者さんにうつぶせになってもらい(うつ伏せがつらい時はおなかの下に枕を入れて抗重力体位をとらせます)まず膝をゆさゆさゆすぶります。それから片方の膝を曲げて片手で足首のちょっと上を把持し、もう片方の手で足のつま先をもってぐるぐる回します。

はじめのうちは足首しか動きません。ところがしばらくそうやって足首を回していると、徐々にその動きは膝に、太腿に、骨盤に、背中に、と伝わっていきます。次は足首の上を把持していたほうの手で同じ足のかかとを持ちます。それからもう片方の手はさっきと同じようにつま先を回します。こちらはさっきよりももっと微妙な動きですが、やっぱり徐々に体の上のほうに伝わっていきます。

もう片方の足も同じようにぐるぐる回します。動けない患者さんは緊張しているわけで、いきなり腰をさわっても治療には反応してくれません。こうやって末梢からゆっくりと動かしていくことで無理なく緊張が緩んでいく、と教わりました。それから初めて腰の治療に入ります。骨盤調整の時は患者さんの骨盤を足で踏みつけて調整していきます。ぎっくり腰で動けなくなった患者さんにそれだけダイナミックな治療を行うことができるのは足首をぐるぐる回すことで十分に身体の緊張が緩んでいたからなのでしょう。

時間をかけて緊張を緩める

骨格調整というと(整体もカイロプラクティックもオステオパシーもみんな骨格調整です)、ずれた骨をもとの位置に戻すと考えがちですが、むしろ生理的な動きを回復させることに重きを置いておられたのだと思います。寝違いで首が回らなくなった時も同じようにひたすら足首を回して緊張を緩めると、首が回るようになる、とも習いました。「首(の症状)は足首で取れ」というそうです。丁寧な治療というのは徒にちんたら長時間揉むことではなく、時間をかけて緊張を緩めていくことなのでしょう。

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