歯ぎしりには3種類ある

歯ぎしりというのはなかなか厄介な症状らしく、マウスピースやら歯列矯正やら場合によっては投薬やらで治療されていますがなかなか一筋縄ではいかないようです。

実は歯ぎしりには3種類あるのをご存知でしょうか。私たちが歯ぎしりと言われて最初に思い浮かぶ、就眠中に歯を「ギリギリ」とこすり合わせるタイプを「グラインディング」と呼びます。それからいわゆる食いしばりを「クレンチング」と言います。食いしばりは「ギリギリ」という音がしませんから気づかれにくい歯ぎしりであると言われています。

歯ぎしりは歯への負担も大きいですし、肩こりや頭痛、顎関節症の原因にもなると言われています。ストレスが増悪要因となると言われていますからストレスフルな現代社会では人知れず歯ぎしりに悩んでおられる方もおられるかもしれませんね。

もう一種類の歯ぎしりは、「タッピング」と言います。寒いときに歯がガチガチ鳴りますよね。あれと似た動きをもうちょっと不規則に行うのがタッピングです。前二者に比べて少ない歯ぎしりであると言われているのですが、私が頭蓋骨の調整をしていて一番遭遇するのがこのタッピングです。

眼の下に出っ張った骨があります。頬骨(きょうこつ)です。頬骨と側頭骨の頬骨突起から咬筋(ものを噛む時に働く筋肉)が起始しています。頬骨リフトと言って、頬骨と側頭骨の間を緩める手技を行っていると患者さんは突然歯をカチカチ鳴らし始めることがあります。タッピングです。頬骨を側頭骨から自由に動けるようにすると、緊張していた咬筋が緩み始めます。緩んでいくプロセスがタッピングになって出てくるんだろうと思います。初診の患者さんで、「ストレスがきついだろうな」と思われる状況の方はたいていタッピングが出現します。

継続的に拝見している患者さんでも、心身がしんどい時はタッピングが出てきます。歯ぎしり一般も同じことなのですが、タッピングは咬筋を緩めるために脳が行っているセルフケアです。ストレスで凝り固まった顎を緩めることでストレスを解消しているわけです。スポーツ選手が緊張を緩め集中力を上げるためにガムを噛んでいるのと理屈は同じです。逆に咬筋の緊張をそのままにしておくと、顎関節ばかりではなく頭蓋骨全体の動きが妨げられて自律神経のバランスが狂い、脳神経が十分に働かなくなります。

頬骨リフトでタッピングを誘発して咬筋の緊張を緩めるのは優れて効果的なストレス解消法です。咬筋が緩めばグラインディングもクレンチングも起きませんし、もちろん頭痛や肩こりも解消されます。ここ数年、私たちはマスク生活を強いられてきました。マスクは不便で暑苦しかったのですがそれ以外にも頬骨を押さえつけて咬筋を緊張させ続けてきたのではないかと思います。その結果がタッピングの流行?であるならば難儀なことですね。

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