頭痛は「首の後ろ」を緩めると治る

入浴時、バスタブの縁を首の付け根というか後頭部に当てるとものすごく気持ちいいです。そのまま寝落ちしてしまうくらい。解剖学的に言うと環椎(第1頸椎)と後頭骨の間です。両者をいくつかの筋肉がつないでいます。環椎は頭の重さ(体重の約10%の重さ)を支えていますから周辺の筋肉は常に緊張しています。ストレスや眼の酷使など、緊張を増悪させる因子が重なると頭痛の原因になります。

昨今の社会情勢やら常にパソコンやスマホを眺める生活やらのせいか当院においでの患者さんもたいていはここがひどく緊張しておられます。入浴時にこのあたりをバスタブで解したくなるのは人間の本能なのかもしれませんね。

実はオステオパシーの創始者、アンドリュー・テイラー・スティル博士も子供のころはひどい頭痛持ちだったといいます。それで庭のブランコに頭を凭せ掛けると頭痛が改善することを「発見」して、頭痛が起きるといつもそうやって自分で治していたといいます。栴檀は双葉より芳し、ということでしょうか。

環椎と後頭骨の間を緩めることは頭痛解消のために理にかなった方法ではあるのですが、繊細な部位ですのであまり強い力を加えると逆効果です。バスタブの縁に頭を凭せ掛けるくらいなら良いのですが、後頭部をぐりぐり押し付けたりすると後から頭痛がひどくなったり気分が悪くなったりすることがあります。頭を凭せ掛けるなら、そのまま頭の重さだけで充分に緊張は緩みます。

環椎と後頭骨の間は臨床的に重要な部位で、頭痛や眼精疲労のほか坐骨神経痛の患者さんもここを緩めると改善します。チック症で足を踏み鳴らす、というのがありますがこれもきっと足からの衝撃で環椎周辺の緊張を緩めようという本能的な動きなのだと思います。

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