股関節の問題は肩の付け根を刺激すると改善する

股関節の痛みを主訴として来院されるケースはそれほど多くはありません。ただ、急性腰痛、いわゆるギックリ腰の回復期に「腰が伸びない」と仰る患者さんは時折拝見します。そういうケースでは股関節を屈曲させる「大腰筋」が緊張していることが多いです。ふつうはマッスルエナジーテクニックという抵抗運動を処方するのですが、ある時、「大腰筋の緊張をを緩和させるには三角筋と大胸筋の間を刺激すればいい」という話を同業から教えてもらいました。同業はどこかの整体法のセミナーでこの話を習ってきたようです。それで試しにやってみると見事に緊張が緩みました。

刺激する部位は正確には三角筋胸筋三角、またはモーレンハイム窩と呼ばれます。鎖骨と大胸筋と三角筋に囲まれた三角形のくぼみで、肩関節が脱臼すると、上腕骨頭はこの隙間から脱出します。刺激するのは三角筋胸筋三角を普通にマッサージしてもいいのですが、私は持続的に刺激するために医療用の金属粒を絆創膏で貼付しています。股関節の痛みにも同じ処方が効きますので、けっこう重宝しています。

先日のこと、股関節が曲がりにくいという患者さんを拝見しました。前かがみになると股関節が痛むので履物を履くのが不便だ、とのことでした。あれこれ試しているうちに大腰筋の抵抗運動に反応してくださいました。それなら、ということでモーレンハイム窩に金属粒を貼付すると楽に股関節が動かせる、と喜んでくださいました。本来であれば股関節が伸びないときの処方が股関節が曲がりにくい症例にも有効というのはちょっと理屈に合いません。従来モーレンハイム窩への刺激は股関節の屈筋(関節を曲げる筋肉、これが緊張したままになっていると関節が曲がったままで伸びない)である大腰筋に反射を起こすものと考えていたのですが、どうやら股関節そのものに反射を起こすようです。

もうひとつ、これは私ごとです。89歳になる母がここ数日ベッドに座った姿勢(端坐位)からの立ち上がりがやりにくそうです。それでモーレンハイム窩に金属粒を貼付してみました。しばらくして見てみると、スムーズに立ち上がれているようです。痛みだけでなくいろんな応用ができそうです。

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