ブシャール結節は整体で治せるか

定期的に拝見している患者さんが、「指が痛い」と仰います。左右の薬指の第2関節(PIP関節)が指の曲げ伸ばしで痛むそうです。「これ、ブシャール結節でしょう?」と言われて感心しました。以前はそんな名称をご存知の一般の方はほとんどおられなかったからです。ネット社会恐るべし、です。

似たような症状でもうちょっと知られているものにへバーデン結節があります。これは指の第1関節が腫れたり痛んだりします。私が健康保険を取り扱う「普通の」整骨院を開業していた時にも時々患者さんからご相談を受けました。当時は「これ、リュウマチかな?」というお尋ねが多かったです。リュウマチ、正確には慢性関節リュウマチも指が変形しますからご心配はごもっともなことですが、へバーデン結節もそれからブシャール結節も慢性関節リュウマチとは無関係の疾病です。

膝の変形性関節症はよく聞きますが、へバーデン結節やブシャール結節は指の変形性関節症です。好発は指を酷使する中年女性とされます。かつて柔道整復師が好んで参考書にしていた「神中整形外科学」には「欧米ではこの年齢の女性が秘書やタイピストなどとして活躍している例が多いので、速やかに自覚症を軽減すると同時に整容も考慮して手術的に」治療を行う、と記されていて彼我の文化の違いに感心したものですが、この20年くらいで日本でもキーボードを叩く人が増加したのでこれらの疾病も増加していると思います。

ブシャール結節は初めて拝見しますがへバーデン結節は何例か経験があるので同じ手技で処置してみました。薬指の付け根の骨(基節骨)と真ん中の骨(中節骨)を把持して両者の間の動きを調べます。背側掌側の滑り、左右の側屈と回旋、離開。制限されている動きをみつけて調整して、痛かったように動かしてもらうと「へえ、痛くない」。関節の遊び、という手法です。ただ残念なことに調整して痛みがなくなってもまた再発するケースも多いです。現在のところ調子が悪くなればその都度調整、という姑息的な処置しかできていません。へバーデン結節では指先の変形(マレットフィンガー)が残りますがこれも改善できません。おそらくブシャール結節でも同じことだと思います。

整容的にはほぼ無効ですが、痛みの改善には姑息的には有効。ブシャール結節に対する整体的アプローチについてはこんな感じです。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です