同じ「骨盤矯正」という名前でも治療院によってやることは違う
骨盤矯正ではなくまずは天津飯の話
突然ですが天津飯、お好きでしょうか。関東と関西で全然別物になるという話は有名ですね。ある時いわゆる街中華でお昼ご飯を食べました。無難に天津飯を頼んだのですが、出てきたものは今まで食べたことのないスタイルでした。
ご飯の上に卵焼き、ではなく炒り卵がのっています。入っているのはカニでも海老でもなく、イカ。それで「餡」が全然かかっていません。なんか異様な天津飯だったのですが、これがものすごくおいしかったので記憶に残っています。
中国出身の知人に聞いた話では中国に天津飯という料理は存在せず、日本独自の中華料理なんだそうです。
「骨盤矯正」に統一された手技は存在しない
さて、あちらこちらの治療院で「骨盤矯正」「骨盤調整」という看板を眼にします。これも実は統一された手技ではありません。患者さんを横向きにして骨盤の仙腸関節に急激な瞬発力をかけるのも、仰向きになった患者さんの腰に、くさび状になったクッション(ブロックと言います)をかませて、患者さんの自重で仙腸関節を調整するのも、うつ伏せになった患者さんの腰を術者の足で踏んづけるのもみんな「骨盤矯正」「骨盤調整」です。
医家で行われている手技療法にAKAというのがあります。「関節運動学アプローチ」という正式名称があります。こちらは医師と理学療法士だけに普及している療法なのですが、仙腸関節を調整するという点でやっぱり骨盤調整のカテゴリーに入ると思います。AKAを行じる医師は頑強に否定をされますけれど。
一口に骨盤矯正と言っても、これだけ種類があるわけですよ。だからあなたの友人が「腰が痛かったけれど骨盤矯正で治った」と言っても、近くの治療院でやっている骨盤矯正が、ご友人の受けたものと同じとは限りません。
すべての腰痛に骨盤矯正が効くわけではない
それともうひとつ、腰痛の原因は必ずしも骨盤とは限りません。「すべての腰痛は骨盤のずれが原因」みたいな言い方を「万病一元説」と言います。しっかりとした信念があるようにも見えますが裏を返せば思考停止とも言えます。骨盤矯正では施術前に下肢の長短差を調べたりするのですが、別に腰痛のない人でも、それから明らかに骨盤矯正の適応でない方でも下肢には長短差があります。
なのでもし骨盤矯正を受けてみようと考えておいででしたら、そこの治療院の骨盤調整がどういう手技なのか、どういう理論に基づいて骨盤矯正を行っているのかを確認されることをぜひおすすめします。何回も骨盤矯正を受けても腰痛が良くならないのは、「自律神経が失調しているから(骨盤矯正でよく言われる言葉です)」ではなく骨盤以外に原因のある腰痛である可能性が高いです。
「骨盤矯正」を標榜している治療院をはしごするのではなく、骨盤以外の原因を考えてみるのも良いかもしれませんね。