ビテイコツが痛い
仰向けになった患者さんに頭蓋仙骨療法を施術していた時のこと。「センセ、こうやって寝ているとビテイコツが痛い。」
こういう時に本当に尾骶骨に痛みがあるとは限りません。尾骶骨は解剖学的には尾骨と呼ばれ、転んでぶつけたりしない限り傷めることは考えにくいです。患者さんにうつぶせになっていただき触診をしてみると仙骨尖の左側に圧痛があります。
仙骨の痛みは結構厄介で、「骨盤矯正」を標榜している所でも仙骨の調整はできていないところがあるらしいです。
腰痛がなかなか良くならない、というときに仙骨に問題があるケースは確かに時々経験します。ほかに夜尿症や皮膚の保湿などにも仙骨が関係しています。
頭蓋仙骨療法の名称の通り仙骨と頭蓋骨、特に後頭骨とは深い関係があります。頭蓋仙骨療法はオステオパシーという医療体系の中のテクニックのひとつですが、オステオパシーの親戚筋のカイロプラクティックにも同様のテクニックがあって「仙骨・後頭骨テクニック」という名前がついています。解剖学的にも頭蓋骨と仙骨は硬膜でつながっていて脳脊髄液の循環によって同じ動きをします。
頭蓋骨を調整していてその動きが仙骨の歪みを刺激したのでしょう。
腰痛の患者さんの頭蓋骨を調整すると怪訝な顔をされますが、頭痛の患者さんの骨盤、特に仙骨を調整することは頭痛治療の盲点だと思います。
尾骨の歪みも同様に頭頭痛や腰痛の原因とされますが、転落やしりもちをついての転倒の既往でもない限り施術する必要性は薄いと思います。