学習障害は治るのか
治したいのは膝の痛みか変形か
整形外科でリハビリ職員をしていた時も、普通に健康保険の使える整骨院を開業していた時も、患者さんの多くは膝か腰の痛みを訴えておられました。
高齢のご婦人もおいでになっており、そういう方の常套句がありました。
「これはもう、焼かな治らんな。」
寿命が尽きて火葬されるまで治らない、言い換えれば一生自分の痛みは治らないという意味です。
「そしたらちょっとライターで膝炙ってみましょか。治るかもしれませんよ。」と、患者さんに言い返したり、考えてみればむちゃくちゃなことを言っていたものです。患者さんがそういう話をする理由は、「膝の痛みは関節が変形しているから。関節の変形は一生治らない。だから膝の痛みも一生治らない。」ということです。言ってみれば医療機関による「刷り込み」みたいなものですね。
それで例えばそういう方の膝関節に伸縮性のテーピングをすれば、膝の痛みは軽減します。もちろん膝関節の変形はそのままです。治したいのは「膝の痛み」であるはずが、いつの間にかそれが「膝の変形」になってしまったところから起きる勘違いです。
学習や発達の問題とテストの成績の良しあしは違う
実は学習の問題も、それと似たようなところがあります。実は当院では受験生の心身のメンテナンスを承っています。子供さんの脳の特性を「治す」ことは不可能でしょう。それこそよく言われるようにその子供さんの特性にあった教育をしていけばいいです。ただ、子供さん自身、あるいは親御さんがいちばん困っておられるところは「学校の勉強についていけない」「進級、進学が心配だ」ということです。もっと言えば知能に遅れはないのに学校の勉強が(時として壊滅的に)できないのが心配だ、ということです。
それで、勉強ができない、思うような点数が取れない理由はあちこちで書いていますように情報の取捨選択ができないのが理由です。そのため授業に集中できなかったりテストでケアレスミスを繰り返したり、ということが起きてきます。眼や耳の緊張を頭蓋仙骨療法で改善すると、個人差はありますがテストの点数は上がります。手技療法(整体)で成績が上がるという話はいかにも嘘くさいのですが、欧米では発達や学習の問題の治療法として頭蓋仙骨療法が一般的とまではいかなくても、そこそこ普及しているといいます。海外のサイトでそういう情報をご覧になっておいでくださったケースもあります。
頭蓋仙骨療法で緊張を緩めると、「ついでに」学校の成績も伸びる
学力のほかの困りごと、チックであったり夜尿症であったり吃音であったりで拝見するようになった子供さんでもかなりの割合で学校の成績が向上しています。びっくりするような大学に進学する子供さんや、とにかくこの子が大学と名のつくところに行けただけで幸せです、と言ってくださったお母さんもおられました。
暴言、かもしれませんが子供さんの将来に重要なウエートを占めているのは学歴だと思っています。学歴がすべてでないことには反論しませんが、学歴が人生のいろいろな関門での入場券の役割を果たしているのは間違いないと思います。
成績さえ伸びればそこそこ人生楽に生きられる
私ごとになりますが、私は柔道整復師になる前、学習塾や大学受験予備校の講師をやっていました。それで、医療関係と教育関係に就いている人たちをたくさん見てきたのですが、「この職業に就いていなければ人生大変だったろうな」と思われる人物が本当にたくさんおられます。ただただ学歴という入場券を手にすれば、どれだけテイスティなキャラクターであっても「偏屈な(言っちまったか)専門家」として人生を謳歌できる可能性は高いでしょう。
繰り返し言います。発達や学習に凸凹のある子供さんの脳の特性はたぶん変化しません。ただし心身の緊張をとってあげれば学力に応じて成績は向上します。単に(普通に)勉強ができるだけで人生の可能性は大きく変化するでしょう。真綿に包み込んで安置しておくのは子供さんにとっても、それから人類にとっても大きな損失だと考えるのですがいかがでしょうか。