症状の原因は骨盤の「かたち」かそれとも「うごき」か
側弯のある患者さんを拝見する機会がありました。主訴は腰痛と下肢痛。それから姿勢をちょっと変えたときに急激な尿意を感じるとのことでした。泌尿器系統には問題なし。
頭蓋骨を調整してリラックスしてもらってから腰を拝見します。形態的に言えば「ずれ」とか「ゆがみ」に相当するところはいくらもありますが、私が探したのは圧痛点です。骨盤のあちこちを押さえて痛いところはないかを伺っていきます。圧痛の出現は骨が正常の位置より凸であったり凹であったりすることが原因とされます。圧痛の種類によって(鈍痛・刺激痛)骨格が正常位置よりどういう風に逸脱しているか判断することができるとされ、その基準に従って調整を行うと圧痛は消失しますが、圧痛点の外観は全く変化はありませんし、たとえ画像診断を行ってもそれは同じことでしょう。
二か所ほどの圧痛点を処置してから立ち上がって腰の具合を伺うと「軽くなった」と喜んでくださいました。尿意については確認できませんでしたが、施術後は特に感じなかったようです。
当たり前の話ですが、構築性の側弯症そのものは術前術後で全く変化はありません。側弯の度合いを検査してみても同じことだったでしょう。それなら骨盤に対する徒手調整で患者さんの何が変化したのか。おそらく徒手調整を行うことで改善しているのは当該関節部の「動き」だと思います。
再三このブログでも記事にしていますが、自転する球である地球上に生活しているすべての生き物は、左右対称ではありえません。地球の自転に合わせて身体を歪ませながら生活しているのが正常な生き物の姿だと思います。その一連の身体を歪ませる動きがどこかで妨げられた(あるいは過剰に動くケースもあるかもしれません)状態こそが関節のズレとか歪みと呼ばれる現象なのだと思います。
側弯症を徒手調整で改善させることは不可能ですが、側弯のある方の腰痛を改善させることは可能ということです。割合この両者を混同してしまいがちな方が多いように思います。