怒は肝を傷(やぶ)る

内臓

定期的に拝見している患者さんの話です。「右の肋間部が痛い」という訴えがありました。お話を伺うと、職場でものすごく腹の立つことがあったといいます。普段から穏やかで感情を表に出すタイプではない方なのでよほどのことがあったのでしょう。

私は東洋医学に関しては素人なのですけれど、どこかで聞きかじっていた「怒は肝を傷る(どはかんをやぶる)」というフレーズが浮かびました。素人の私のいい加減な解釈では、「怒ると肝臓に症状が出る」、くらいの意味です。実際に肝機能が良くない、という意味ではなく感情と臓器の関係を説明した言葉なのでしょう。

普通、肋間部の痛みと怒りの感情の間には関連性がありません。にもかかわらず患者さんが会社での怒りの体験を話してくださったということはソレが今の症状と関連があるよ、という身体からの訴えであったのでしょう。おそらく「怒は肝を傷る」なんていう普段絶対使わないフレーズが頭に浮かんだのも私の脳内の乏しい東洋医学の知識が訴えに感応したからなのだと思います。

まずは頭蓋仙骨療法で、緊張を緩めます。怒りの感情があるということは交感神経優位、戦闘モードです。これを副交感神経優位にもって行ってカラダに「戦闘は終わったから傷の手当てをしましょう。」という提案をした態です。

それから患者さんの頭の右側と肝臓のある位置に手のひらを当てます。アタマと体幹や骨盤に手を当てる手技というのはいくつかあります。何らかの症状があるということはカラダのどこかがパニックを起こしています。そういう時にカラダを落ち着かせるためにアタマとのつながりを再構築する意味合いもある手技だと私は勝手に思っています。

次に肝臓の調整です。内臓には自動力とでもいったものがあって、症状のある時は自動力が制限されています。手のひらを肝臓のある辺りにべたっと当てて動きをつけていきます。最後に肋骨を調整して「どうですか?」と伺ってみると楽になった、と喜んでくださいました。二週間後にもう一度拝見した時には症状はほぼ消滅でした。

患者さんが話してくださる一見症状とは関連のない話が、ひょっとしたら患者さんからのアピールであったのかもしれないという話です。先天的知能とかユニバーサルインテリジェンスとかいうのは結構饒舌なのかもしれません。

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