やることが多すぎて時間がない、そういう時って却って何もできないですよね。

脳

to doが多すぎる

新年度になって環境が新しくなった方もおられるでしょう。環境が変わるとやるべきことが増えます。仕事でto doが増えると、不思議なもので仕事以外でもいろいろ用事が増えたりするものです。立て続けにするべきことが増えて、気分は焦るのですけれどそういう時は何もできないで一人でイライラしていることってありませんか。アタマは疲れているのですがなぜか夜も眠れなかったりします。

ちょっと前にその結果パニック障害になってしまわれた方を拝見しました。主訴は不眠。公私にわたっていろいろなことが続いてとうとう力尽きた感じです。困りごとを箇条書きにしていくとどのくらいの分量になるでしょうか。

「やる気」のスイッチが切れるのは防御反応

to doが個体としての個体としてのキャパを超えると、カラダは「やる気」のスイッチを切ります。一切の活動をやめて過労死を防ぐためです。実はギックリ腰も寝違えやむち打ちも同じ理屈です。活動中に通常とは違う質・量のストレスが腰や頸にかかると、カラダが損傷することを防ぐために筋肉を緊張させて身体運動をストップさせます。やることが多すぎて何にも手につかない状態と、重いものを抱えて腰が「ぐきっ」となってそれきり動けないのとは、生理的には同じことだと思います。

おそらく五月病と呼ばれる状態も同じことです。環境が激変してやることの質と量がキャパを超えてしまい、「やる気」のスイッチが切れた状態。

関与しているのは背側迷走神経系。コロナの後遺症と同じパターンです。頭の中がいっぱいいっぱいになってしまって、身動きが取れません。一切動くのをやめて危難が過ぎゆくのをひたすら待つことがカラダに先天的に備わった「知恵」であるのでしょう。やることはいっぱいあるのに、アタマがちっとも働かない、という歌詞の歌もありました。

今日もいつもの睡眠不足

パニック障害の患者さんに話を戻します。山ほどある困りごとの中で主訴を「不眠」とされたのも理由があるのだと思います。疲労は眠らないと絶対に回復しません。自動車でも機械でも電源を切らないと修理できないのと同じ理由です。アメリカの精鋭部隊、グリーンベレーの隊員500人による「断眠実験」の記録を読んだことがあります。眠りを完全に止めてしまうと72時間で95%の隊員がギブアップしたそうです。

頭の中がいっぱいいっぱいで何もできない状態のその患者さんは、眠って神経系統の疲れをとることがしんどい状態の突破口になると本能的に感じられたのかもしれません。まずひとつ「やること」を挙げるなら睡眠。そんなふうにココロの中の「何か」が訴えていたのかもしれませんね。そういえばさっきの歌も「スイミン不足」という題名でした。

二度目に拝見した時にはだいぶ眠れるようにはなっておられて、でもやることが多すぎて考えていると胸がドキドキする、とのお話でした。気になったのが眉間の縦皺です。おそらくそうやってアタマの中に存在するとんでもない分量のto doを握りしめるように持っておられたのでしょう。

やるべきことでいっぱいいっぱいになったアタマを解放するためには、スキマを作ればいいです。耳を引っ張ってみたり眉間を左右に拡げてみたりすることでいっぱいいっぱいは解消されて、優先順位を付けられるようになります。

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