「頭を抱える」のは再起へのエネルギーチャージ

頭を抱える

「頭を抱える」というのは「心配事や悩み事の解決策がわからなくて途方に暮れる」とでもいった状態を表現するときの言い回しです。

感情を身体の動きや状態で表現した言い回しはたくさんあります。「怒髪天を衝く」でも「臍が茶を沸かす」でもいいのですが、実際にはそういう事は起こりえません。

ところが心配事の解決策が見つからない時に、人は本当に頭を抱えてしまいます。これはどうしてか。人が頭を抱える時、「私は解決策のない悩みがあります」ということをアピールしているわけではありません。「心配だからちょっと頭でも抱えてみようか」ということもありません。途方に暮れたときに頭を抱えるのは全く本能的な行動ということです。

「抱える」部分もほぼ決まっていて両側の側頭部です。両手の指を組んで後頭部を支えた状態の人を見ても「途方に暮れている」よりも「くつろいでリラックスしている」状態にしか見えません。

実はオステオパシーの頭蓋骨調整で、患者さんの頭を抱える手技が存在します。両耳の上あたりを術者の手掌で「ぐーっ」と圧迫してそのまま90秒間保持します。どういう効能があるかというと「頭がすっきりする」。この手技の開発者、ロレンス・H・ジョーンズ博士も「患者が気持ちいいと言ったらやってやるといい」と書いておられます。

この手技で標的になるのは耳の先端よりちょっとだけ上、側頭骨(耳の周りの骨)と頭頂骨(頭のてっぺんの骨)との境い目です。この辺りは頭蓋骨の中心部です。側頭骨の周囲は、いろんな筋肉や臓器の反射点(東洋医学の経穴=ツボみたいな存在)が並んでいるのですがこのポイントは「横隔膜」に対応しています。(専門的?に言うとTSラインの17)

ですから自分で頭を抱えるにせよセラピストが行うにせよ、頭を抱える動作は浅くなった呼吸を落ち着かせてパニックになりそうな体勢を立て直すという意図があるわけです。ちなみに骨法という古武術ではこの部位を「ミミクラ」と呼ぶそうです。ここを刺激すると身体の安定性が増す、というのを骨法の書籍で読んだことがあります。

「もうあかん」というポーズをとりながらひそかに復活のためのエネルギーを蓄えている、というのはなかなかしたたかですよね。

勝負は、これからだ。

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