パソコン仕事で腰が痛くなったとき
パソコン作業で腰痛?
パソコン(またはスマホとかタブレット)画面を一日眺めていると当然眼が疲れます。それだけでなく肩が凝ったり頭痛がしたり、それから不思議なことに腰が痛くなったりします。眼が疲れると肩こりや頭痛が起きることはなんとなく納得がいきます。でも、腰痛と眼の疲れにはどんな関係があるのでしょうか。
眼精疲労と腰痛の関係
骨盤周りに腸腰筋という筋肉があります。腸骨筋と大腰筋という二つの筋肉によるユニットです。骨盤や腰椎から起始して、大腿骨の小転子に停止します。股関節を曲げる働きをします。腰痛で「腰が伸びない」という訴えがあるときはこの腸腰筋が緊張しています。
腸腰筋が緊張して患者さんをあお向けに寝かせると、膝裏がベッドから浮き上がっています。きちんと股関節が伸びていないのでわずかに膝が曲がったままになっているからです。
眼精疲労が腰痛を引き起こすメカニズム
それで、現代医学的には説明がつきにくいのですが、眼を酷使するとこの腸腰筋が緊張することが知られています。読書やらパソコンの操作を夢中になってやっていると、だんだん姿勢が崩れてきたという経験はおありだと思います。あれは何もお行儀の問題ではありません。眼が疲れてくると腸腰筋が緊張するので股関節がだんだん曲がってくる、椅子に座った状態だと前のめりの姿勢になってくる、ということです。ずっとゲームばっかりやっている子供さんがお尻と顎を突き出して歩くのも、股関節がちゃんと伸びていないからです。さらにその原因は目の酷使によって腸腰筋が緊張しているから、ということになります。
仕事中は前のめりの姿勢になるわけにいきませんからまっすぐ座ろうとします。すると腸腰筋が脊椎を前方に引っ張ろうとする力が常に腰にかかります。これがパソコンの画面を長時間眺めながら仕事をしているときの腰の重だるさ、または痛みの原因です。急に立ち上がるとその拍子に腸腰筋が脊椎を強く引っ張ります。そうすると脊椎が前方にズレてしまいます。いわゆるギックリ腰です。風が吹けば桶屋が儲かる、ではありませんが眼を酷使すると腸腰筋が緊張する。腸腰筋が緊張すると立ち上がった際に脊椎は前方にズレる、というのがパソコン仕事でギックリ腰になる機序です。
パソコン作業由来の腰痛を防ぐ
前方にズレてしまった脊椎を調整できるセラピストはそんなに多くありません。ただ、眼のストレスを緩和して腸腰筋の緊張を緩和しておけば腰の重だるさも腸腰筋によるギックリ腰も予防することができます。やり方は2種類あります。まずひとつ目は、両掌を1分間こすり合わせてから掌で眼球を覆います。手を当てている時間は5分とか10分。掌からはわずかに磁気が出ていてそれに血液中のヘモグロビン(鉄分)が引き寄せられて血行が良くなります。
もうひとつは眼玉のストレッチです。まず両眼で上を見ます。眼玉だけを動かすつもりで。そのまま7秒間上をじっと見ます。次は右斜め上。これも7秒間じっと見ます。その次は右真横、7秒間。右斜め下、7秒間。同じように真下、左斜め上、左真横、左斜め下を見ます。全部で1分足らずで眼玉をリフレッシュできます。顔や頭を動かさずにできるだけ眼玉だけを動かすのが効果を上げるコツです。