オステオパシーとは何か?

オステオパシーは整体の一流派、というのはあんまり正確ではない

「オステオパシー整体」を標榜している「かなや整骨院」ですが、そもそもオステオパシーというのはどんなものでしょうか。よく言われるのは「カイロプラクティック」や「中国整体」などとならんで称される「整体の一流派」というとらえ方です。でも実はこの言い方はあんまり正確ではありません。

オステオパシーというのはいわゆる西洋医学と考え方は異なりますが、医学の一体系であることは間違いありません。ちょうど中国に西洋医学を行う医師と東洋医学を行う中医師が存在するのと同様、アメリカには医師とオステオパシー医師という二種類の医師が存在するということです。オステオパシー創始者もスティルという医師です。スティル医師は医薬品の使用を否定しましたが、たとえば腰痛の患者さんの側索にプロカインの混和剤を注射する、といった投薬もオステオパシーに含まれます。

アメリカのトランプ前大統領が新型コロナに感染して入院した際の主治医もオステオパシー医でした。とはいえトランプ氏が受けていた治療はたぶん普通の投薬で、手技療法が介在していた可能性は薄いと思います。ケネディ大統領についていた医官もオステオパシー医で、持病の腰痛のケアを行っていたといいますが、この時の処置もやっぱりプロカイン注射であったそうです。

整体=手技療法がオステオパシーの体系に含まれるのは間違いありませんが、オステオパシーは少なくともアメリカでは「一般医療+手技療法」であって、整体の一流派であるというのは正確な認識ではないようです。

オステオプラクチック?

それではオステオパシーの手技療法と他の手技体系の違いは何でしょうか。もちろんカイロプラクテックの手技、オステオパシーの手技というのは存在します。トムソンやガンステッドといったテクニックをオステオパシーを標榜している治療家が使うことはあんまりないでしょう。

それでもアメリカではオステオパシーの頭蓋仙骨療法(クラニオセイクラル・セラピー)のセミナーにはカイロプラクティックドクターが参加するといいますし、オステオパシーの手技であるところの「ストレイン・カウンターストレイン」は「ポジショナル・リリース・テクニック」という名称でカイロプラクティックのクリニックでも使われているそうです。ついでに言えば頭蓋仙骨療法もストレイン・カウンターストレインも日本の柔道整復師のタマゴが勉強する「リハビリテーション医学」の教科書にも掲載されています。

ずっと以前(初版は1971年)に出版された「脊椎調整術の世界」という書籍に「時として、二人のオステオパシー師、あるいはカイロプラクターの技法の差は、時にはオステオパシーとカイロプラクチック(原文ママ)間の距離より広い。」とか、「少なくとも手技療術に関する限りは、オステオパシーとカイロプラクチックは、ほぼ合体した姿でカレーライスとライスカレーほどの差もなくなってき」たとかいう記述があります。この本の著者、藤井尚治先生(ストレスの研究で有名な方です)は両者をつないで「オステオプラクチック」にしてもいいのでは、という提案までされています。しかも半世紀以上前に。もちろん制度上の違いはありますから(オステオパシーは医師、カイロプラクティックを行うのは准医師)両者が合体してしまうことはあり得ません。おそらく藤井先生は世間にあまたある手技療法のテクニックも、突き詰めてみれば大同小異じゃないか、とお考えだったのでしょうね。

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