カラダの緊張を緩めると子供さんは勝手に伸びてゆきます(症例です)

A君、小学生。発達の遅れを気にしてお母さんが連れてこられました。2,3歳のころに発達の問題があるのでは?と指摘されてはいたのだけれど、その後は特に問題なく育ってきたといいます。最近になって行動面をはじめいろいろと心配なところが出てきたということで、当時の「かなや整骨院」の治療院のホームページをご覧になって来院されました。 
 
お母さんが最も気にしておられたのは、顔をしかめるチック症状でした。それ以外にもしょっちゅう眼をぱちぱちさせるといいます。頻繁に中耳炎を起こす。就眠時の歯ぎしり、聴覚過敏。夜尿症…。学習面もよろしくなく、授業は理解しているのにそれが試験に反映されない、とのお話しでした。 
 
早速診察台にあおむけで寝てもらいます。膝がちょっと浮いて診察台についていません。これは股関節を屈曲させる腸腰筋が緊張している証拠です。片一方の膝と股関節を屈曲させていくと、もう片一方の股関節も一緒に曲がってくる。トーマステストと言って腰痛で腰が伸びない人が陽性になる検査です。今の子はみんなこんな風な姿勢で生活しています。 
 
うつぶせにしてみると右足が極端に短く見えます。ふつうは足の長短差なんてよく見なければわからないものだけれど、素人のお母さんがみても一目瞭然なくらい目立ちます。よく治療院なんかで「骨盤がゆがんでいる」と言われる状態です。

ただし頑丈な骨同士が組み合わさってできている骨盤がそんなに簡単にずれたりゆがんだりするわけはありません。A君は身体全体の緊張が強くて、当然骨盤周りの筋肉の緊張も強いです。そのために骨盤が「たわんで」いることが左右の足の長さに差が出る原因でした。もちろん骨盤の中にある臓器にも影響は出るわけで、それが夜尿症の原因となっていました。ストレスを感じると頻尿になったり、下痢や便秘などになるのも同じ理由です。学習に問題のある子は大体何かしら排泄にも問題を持っていることが多いです。 
 
ただし骨盤は「主犯」ではありません。A君に再び仰向けになってもらいます。頸椎と後頭骨の間が異様に硬くなっています。顔をしかめたり眼をぱちぱちさせる原因はこれです。ようは身体中が緊張してちゃんと動けていない状態です。サイズの小さい服を着て体操をやるようなものですから全身が窮屈で仕方がありません。 そのしんどさを一時的にでも楽にしようとする動作がさまざまなチック症状です。
 
それでは治療に移ります。頭蓋骨を触診して緊張のある所を見つけ出し、調整していきます。調整と言っても頭に軽く手を置くくらいの感じです。初対面の怪しいオジサンに緊張していたA君もすぐにリラックスして眠り始めました。もちろん調整中は痛みを感じることはなく、たいていの患者さんはそのまま眠ってしまわれます。一渡り頭蓋骨の調整が終わって、本来なら必要に応じて骨盤の調整もするのですけれど、頭だけ調整した後もう一回うつぶせになってお母さんに足の長短差が消失していることを確認してもらいました。その日の夜お母さんからメールがあって、目をぱちぱちさせる頻度が減った、との報告がありました。それからA君が自分のことを学校で呼ばれているニックネームで呼んでほしいと言ってます、とのこと。うちの治療を気に入ってくれたみたいで嬉しかったです。

一か月後、顔をしかめるチックはほぼ消失しました。眼をぱちぱちさせる癖も減ってきました。この「眼ぱちぱち」は不調になると出現して、調子のよい時は出ません。ただし普段は眼をぱちぱちさせていなくても、頭蓋骨を調整している間はぱちぱちが出現することが多かったです。それから骨盤を左右にねじるような動作もよく出現しました。頭蓋骨の調整で脳の疲労が回復してくると、たまっていた緊張をそういう風にして解放しているのでしょう。成績のほうは初診から二か月目には計算とか漢字(とっても乱雑だった由)とかが改善し始め、四か月後にははっきり成績が上がり始めました。歯ぎしりも減り始め、「普通に寝ている状態」になったとお母さんから報告がありました。

一年半後には「中学受験をしたい」と本人から言い出して、学習塾に通い始めました。受験勉強中は眼のぱちぱちが出現するたびにケアのために来院してくれました。そうして見事、志望校に合格。守秘義務がありますからどこの学校とは言えないけれど、とんでもない進学校です。現在は大学受験勉強に励みながら、時たま調整に来てくれます。

ここまで3年ちょっと。「ずいぶん長いこと通院するんだな」と思われました?でもねえ、初診から中学合格までの通院日数は20日。丸々半年通院していない時期もありました。最初にお母さんが連れてきたときの症状なら10回の施術でほぼ改善しています。

中学合格後、A君のお母さんからお礼のメールをいただきました。

「もともと個性的な息子でしたが、幼稚園で集団生活を送るようになり、ほかのお子さんと何かが違うと不安があり、金谷先生のブログを見つけ一度診てもらおうと、お伺いしてから 4年が経ちます。

先生のところへ始めて行った時は、寝返りをあまりしない・おねしょ・瞬きちっく・体育館で流れる音響を嫌がる(周りのお子さんは気にならない音量でも)・会話中のイントネーションに変化がない。棒読みのようなイントネーション。鉛筆の筆圧がなく、字を書くのが苦手。

コミュニケーションの特徴として、聞かれたことをそのまま言う(オウム返しの様な)

「今日は給食何食べた?」→「今日何食べた?」

注意されると固まって何も言わなくなる。

これがいっぺんに出る訳ではないのですが、どの症状も治ると言うかマシにもなりませんでした。3歳児検診で、とくに発達障害がありますとも言われる事もない、それよりも本を幼いころから読んだり興味のある事は、自ら調べたりして、一見、大人しくて賢い子、ぐらいに周りからはそう思われていました。いわゆるグレーゾーンの子供なのかな?と思い、金谷先生に初めて診察して頂き、特徴をお伝えしたところ、この子の様な症状は、親御さんしか見つけてあげられないかも、と。特にお母さんしか見つけられないかも。よく連れてきて下さいましたね。と、言って頂いて、救われた気持ちになりました。通う必要のないお子さんはその様にお伝えします。でも息子さんは通ったほうがいいですと、言って頂き親子ともに信頼し通いました。

息子の身体は骨盤が歪んで、脚長差もあり頭蓋骨の緊張もあるとの事で、2週間に1回や、月1回通うことで治療が始まりました。骨盤がゆがんでいるとか、全く気が付きませんでした。

はじめは先生を前に緊張していた息子ですが、施術は頭を軽く触るだけですので、毎回爆睡するようになり、通うことを楽しみにするようになりました。通い始めて、半年くらいでおねしょが無くなり、たまに瞬きはありましたが、いろいろな症状が小さくなって来ました。

学習面でも、落ち着いて取り組むことが出来て本人の希望で中学受験することになりました。まだまだ字は綺麗に書けませんが、息子なりに整って来ました。

受験勉強でストレスが溜まって来たら、またいろいろな症状が出てくるのかな?と心配していましたが、本人も、金谷先生とこ行きたいと言って受験前にも何度かお世話になりました。試験当日も、緊張することなく終了し、無事に合格することが出来ました。これからもメンテナンスとして通い続けるそうです。自分の症状や、疲れた時に出るサインを自分で分かっておくことは息子にとって一番大事な事です。

先生もおっしゃっていましたが、この様な症状のお子さんは男の子が多いと。確かに、息子と、下は女の子がいるのですが、全くこの子はこのような症状はありません。

どこも身体は悪くないけれど、何か気になるところは誰しもあると思いますが、お母さんが「?」と思われたなら、一度金谷先生に診てもらうことを本当におすすめします。

一緒に成長を見守ってくださりありがとうございました。これからもお世話になります。よろしくお願いします。」 

 当記事はクライアントと保護者の方のご承認をいただいています。 

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