チック症状は緊張緩和のためのセルフケア

チック症状というのは、意味のない運動が意図せず繰り返される「運動チック」と、意味のない音や言葉を繰り返す「音声チック」に分けられます。発達や学習に困りごとのある子供さんにもチックをお持ちの方は多く、緊張やストレスで増悪することが知られています。

具体的な症状としては、瞬き、顔をしかめる、口を歪ませる、舌を突き出す、小鼻をひくひくさせる、咳払い、舌や鼻を鳴らす、特定の音や言葉を発する、などがあります。止めようと思えば止められる、けれどついつい我慢できなくてやってしまう。

でもそれって、「癖」でも同じですよね。癖とチック症状はどう違うのでしょうか。両者の区別の目安として「前駆衝動」の有無が言われています。「やってはいけない。でもやってしまうとスッキリする。」チック症状にはこういう感情が付きまといます。それで意識すればするほど前駆衝動が強く出るということです。

でも、例えば爪を噛む、とか指をしゃぶる、とかそれから喫煙も、一般的に「癖」とされる行為にも前駆衝動は存在します。禁煙の経験者であればそのあたりのしんどさはご理解いただけると思います。強いストレスがかかるほど衝動が強くなるのも同じことです。なのでおそらくチックと癖との間に本質的な違いは存在しないと考えます。強いてあげるならチック症状は人前で行うと奇異な感じのする行為が多いということだと思います。

モンチッチは親指をしゃぶっていますが顔をしかめたぬいぐるみは人気は出ません。酒場で一人爪を噛む女性と繰り返し「らりるれろ」と叫ぶ女性ではだいぶイメージは違います。チック症状と癖の境界線は「鼻をほじる」くらいになると思うのですがいかがでしょうか。

そうであればこそチック症状には「やってはいけない」という自他からの圧がかかるわけで、強い前駆衝動はその反作用と考えることができるでしょう。そうして心身の緊張が強くなるほどチック症状がひどくなるのは逆に言えばチック症状は緊張を緩和するためのセルフケアということになります。

それならチック症状はどうすれば改善するのか。チックに頼らずに緊張を緩和してあげればいいわけです。それで先に挙げたチックの出現パターンなのですけれど顔とか頭に集中しています。実はストレス緩和に有効な東洋医学でいうツボ、経穴が顔面頭蓋に集中しています。おそらく顔をしかめたり瞬きをしたりすることでこれらのツボを本能的に刺激しようとしているのが運動チックなのだと思います。

音声チックのほうはどうか。これも上顎の奥にストレスを緩和して自律神経をリラックスさせる部位があります。(口蓋骨と言います)咳払いや声を出す、といった行為はちょうどこの部位を刺激することになります。

経穴を軽くトントン…、と叩いてストレスや緊張を軽減させる「タッピング」という心理療法があります。眉頭と眉尻、眼の下、鼻の下、顎のくぼみを順々にトントン、と叩いてみてください。きっと緊張は和らいでチックも軽減すると思います。

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