お子さんが集中できないわけ(副教科の先生に嫌われていませんか?)

それではどうして身体が緊張していると集中力が無くなったりケアレスミスを繰り返したりするのでしょうか。 人は誰でも眼や耳から入ってくる情報を取捨選択して生活しています。例えばテレビでドラマを見ているとき。 テレビの画面以外にも部屋にあるいろんなものが見えているはずなのですけれど、ほとんど意識しませんよね。ドラマのセリフ以外にも、外を通る自動車の音やら家族の誰かが電話で話している声だとかが聞こえていますけれど、これもほとんど意識しません。これは眼や耳についている小さな筋肉が、周囲の膨大な量の情報から集中するべき情報を選択して取り入れているからです。 
 
ところが現代人の情報の取捨選択の能力は、ずいぶんと衰えてきています。私たちは一日のかなりの時間をスマホやパソコンの画面を見て過ごし、イヤホンから流れてくる音楽を途切れることなく聴いています。同じ画面を見続け、ほかの音が入り込む余地がない状況で過ごしているわけです。同じ姿勢をとり続けるとあっちこっちしんどくなるように、眼や耳についている筋肉も緊張を強いられます。それから一日中眼や耳から情報が入りっぱなしになると、どこかで情報量が脳の容量を超えてしまいます。疲労した脳は全身の筋肉に「緊張しろ」という命令を出して、動きを制限します。これは子供さんに限った話ではありません。テレワークで間断なくパソコンに向かっている親御さんがぎっくり腰になるのも同じ原因です。

 そういう状態、眼や耳だけでなく全身の筋肉が緊張したままだと学校の授業やテストの時が大変です。集中するべき先生の授業とそれ以外の情報(例えば校庭の体育の授業やら学校の外を走る自動車の音、教室内の標語やポスター、などなど)が同じウエートで頭の中に入ってきます。そうして脳は、入ってきたすべての情報を同じウエートで(それもいっぺんに)処理しようとします。当然、授業はそっちのけになってしまいます。これが「集中力がない」ということです。そのうえ頭脳は常にフル回転を強いられます。お子さんが「疲れた」を連発されるのは必要のない情報まで脳が処理しようとしているから、なのです。 
 
集中力がない=情報の取捨選択ができない子供さんはテストのときも眼に入ってきた情報をいっぺんに処理しようとします。学校のテストは問題用紙、解答用紙、いずれも紙ベースですから、自分がこれから取り組もうとしている設問以外も当然眼に入ってきます。それで眼に入ってきた2つとか3つの設問を同時に考えるような離れ業を(本人は無意識のうちに)やってしまっています。その結果解答欄を間違えたり単位を付け忘れたり、記号で答える問題に「徳川家康」とか答えてしまったりするわけです。怖いのはケアレスミスを頻発する子は授業そのものはちゃんと理解できていることです。だからテストで思うような点数が取れなくてもそんなに深刻にとらえない傾向があります。 「今度はちゃんと気を付けるから大丈夫」と周りも本人も思っています。でも、またつまらないミスをやってしまいとれるはずの点数を落としてしまう、ということを繰り返してしまいがちです。
 
ところが入学試験は1点が合否を分けます。私が塾や予備校の講師をやっていたころ、「1点」で不合格になった生徒をかなりの数見てきました。一番痛恨だったのは、答案用紙に名前を書くのを忘れて大切なテストで零点をとってしまい、それが内申書に響いて志望校を3ランク下げざるを得なかった生徒のケースです。努力が無に帰してしまうような事態は避けなければなりません。 

「内申書」の話が出たついでに書いておきますと、このサイトをお読みくださっている方のお子さんはたぶん「副教科」の成績があんまりよろしくないのではないでしょうか。集中力に欠ける子供さんは副教科の先生とうまくいかないことが多いです。時々「心ここにあらず」といった風に見える子供さんの授業態度が先生の癇に障るのかもしれません。定期テストでいくらいい点数を取ったとしても、演奏や歌や美術の作品の評価を決めるのは先生の「主観」ですからこればっかりはどうしようもありません。当院においでの親御さんとはそういう話もさせていただいてます。

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