学習障害と不登校は別問題だと思う

不登校は発達障害とセットで語られることが多いです。両者の要因を併せ持つ子供さんもおられるのかもしれません。ただ、両者を自律神経の面から見てみると、根本的な部分が異なるように思います。

発達障害(私が拝見するのは基本的に学習障害になりますが)の子供さんの心身は緊張しています。カラダの緊張を示す所見が見られることが多いです。視覚や聴覚は、眼や耳についている小さい筋肉によって調整されていますが、これらの筋肉も緊張しています。その結果情報の取捨選択ができないことが「集中力がない」状態です。ケアレスミスも同じような原因で起きます。

就眠時の歯ぎしりやくいしばりは咀嚼筋が、夜尿症や頻尿は膀胱壁がそれぞれ緊張したことが原因で起こります。緊張が強くなれば本能的にそれを緩めようとするのがイキモノの常です。緊張している顔や首、背中を緩めるために小鼻を動かしたり顔をしかめたり瞬きや席をしたりするチック症状が出るのはそのためです。時に奇声を上げたりからえづきが出たりするのも一種のチック症状です。

心身が緊張するときには自律神経のうち交感神経が優位になります。いわゆる戦闘モードですね。こういうケースでは頭蓋仙骨療法などの手技療法で心身の緊張を緩めていくと学習面は改善しますし、チックも夜尿症も改善していきます。

一方不登校はどうか。いわゆる五月病やら、長期休暇明けに学校に行きにくくなるのもここに含みます。この時は少なくともカラダに緊張のサインは見られません。不登校のきっかけとしてよく挙げられるのが学校での人間関係です。友達と何かトラブルになったとか教師にひどく叱られたとかをきっかけに不登校が始まります。

こちらは背側迷走神経系が優位になった状態です。普通、敵に出会った時は交感神経が優位になって「戦うか、逃げるか」の対応をします。ところが出会ったのが到底勝ち目のない相手であると、イキモノは一切をシャットダウンして「死んだふり」をします。具体的には呼吸数や脈拍数が減少し、下痢や嘔気など消化器の問題が起きます。表情が消えてカラダに力が入らなくなります。山道でクマに出くわしたら「死んだふりをしろ」と言われますがむしろ夜道でお化けに出会って腰を抜かした状態をイメージしていただいたほうがわかりやすいかと思います。

そうして背側迷走神経系は副交感神経に分類されます。リラックスしているときに働く腹側迷走神経系とで、副交感神経には二種類あることになります。交感神経の過緊張によって発達障害が起きるのと、全く逆のパターンです。おのずと発達障害とは治療法が異なります。

幸か不幸か「コロナ罹患後」「ワクチン接種後」に学校や会社に行けなくなった、という奇怪な事案がいくつか続き、いわゆる新型コロナ後遺症の一環として考えるとつじつまが合うことに気が付きました。従来の手技が奏功しなかったわけですよ。それで交感神経優位になるように身体を整えてみると、他の後遺症同様に不登校も改善するようです。同じように自律神経がかかわってくる子供さんの困りごとではあるのですが、両者の病態は異なるようです。

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