見ると腰痛になる動画?

腸腰筋

ご紹介の腰痛患者さん。痛みの場所がはっきりしない。ふつうに腰痛で行う検査法、パトリックとかラセーグテストとか、みんな陰性。痛む箇所は日によって違って、仙腸関節だったり股関節だったり時として膝が痛かったりもするといいます。一応受傷機転もあるものの、もう一つはっきりしない。ほかの症状で通院しておられるというし不眠もあるといいますからとりあえず頭蓋仙骨療法を行うことにしました。

触ってみると顎関節と側頭骨がすごい緊張しています。時間をかけてこのあたりを解放して、骨盤や腰椎の圧痛を見つけて調整して歩いてもらいました。すると、「歩くと背中が痛い」とおっしゃいます。もう一回診察台にあおむけになっていただき、片方の股関節をゆっくり屈曲させるともう片方が一緒に屈曲しはじめます。反対側の股関節も同じ所見です。トーマステスト陽性。腸腰筋の緊張です。

腸腰筋は背中から腰にかけての脊椎から起始して大腿骨の小転子に停止します。股関節を屈曲させる働きをしますが、どういうわけか眼を酷使するとこの筋肉が緊張します。普通腸腰筋が緊張すると「腰が伸びない」という訴えになるのですがちゃんと腰を伸ばすと起始部が前方に引っ張られる格好になりますから「背中が痛い」という訴えにも合点がいきます。

ついでに言えば、股関節は顎関節と、腸腰筋は咬筋とシンクロしています。道理で顎関節の制限がきつかったはずです。

原因がわかってしまえばあとは簡単なことで、腸腰筋をカウンターストレインで緩めてからもう一回歩いていただくと今度は「はっし、はっし」と歩けるようになりました。

それで「最近、眼を酷使するようなことがありましたか?」とお訊ねすると「動画をずっと見ています」とのこと。最近は若者だけではなく、年配の方もスマホやパソコンで動画をよくご覧になるそうですからこれからはこういうタイプの腰痛も増えてくるのかもしれませんね。

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