食いしばりは自分で治せる

咬筋

睡眠時に食いしばりや歯ぎしりをする、というご相談を時々受けます。私は治療家向けのセミナーで技術指導をしているのですが、その際にも「食いしばりをどうしたらいいか」というご相談をいただくことがあります。

顎の力は男性で60キログラム、女性で40キログラムくらいといわれます。それだけの力がずっとかかっていれば歯や歯ぐき、顎関節に良くない影響が出るのは当然のことでしょう。

それだけではなく、食いしばりは頭痛や肩こりなどの原因にもなります。おそらくはなかなか治ってくれない腰痛の原因の少なくとも何割かは「食いしばり」によるものと思っています。

食いしばりの主な原因はストレスとされます。ストレスによって咬筋が緊張して、その結果として食いしばりが起きると説明されます。もちろん心身のストレスで交感神経が優位になると筋肉は緊張しますから間違いではありません。

ただ、もう一つの要因として「目の酷使」を見逃してはいけないと思います。眼を酷使すると理由はわかりませんが咬筋が緊張します。ずっとパソコンを見ていて「眼が疲れたな」というときに、食事をしていて頬の内側を噛んで痛い思いをしたことはありませんか。あれは眼を使いすぎることで咬筋が緊張していることが原因です。要は「食いしばった」状態から口が十分に開けられないために、勢い余って頬の内側を噛んでしまうということです。

食いしばりは自分で治すことができます。まず一つ目は頬骨をつまみます。咬筋は頬骨弓から起始しています。頬骨を軽くつまんで動きをつけることで咬筋の緊張が緩みます。時間は3分間くらい。

二つ目は眼のリラクゼーションです。掌のくぼみを眼玉に当てるとか親指、人差し指、中指の3本の指で眼玉を軽くつまむ、とかで眼の緊張を和らげます。こちらも3分間くらい行います。

最近、歯科衛生士さんが書かれていたのですが、耳の後ろにビニールテープや、エレキバンの貼り替え用の四角い絆創膏を貼付すると咬筋の緊張が和らぎ、顎の運動が楽になるそうです。耳たぶの裏側、口を開けたときにへこむ部分があります。東洋医学では「翳風(えいふう)」という経穴の位置です。ここにテープや絆創膏を貼ると、貼付後30分で咬筋の表面温度が平均23%上昇、開口した時の口の幅は平均12%拡大したといいます。

いずれの方法も特に技術もいりませんし費用もかかりません。三つ全部をいっぺんにやらなくても、できるものをできる時にやってみてください。それからお休みの前にスマホを見るのは避けてくださいね。

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