頭蓋仙骨療法はどんな症状になぜ効くのか その2 腰痛

脳と脊髄

腰痛の原因はいろいろあります。整骨院での施術が適応となるのは器質的病変のない腰痛ということになります。手技療法が腰痛に有効であることは整形外科でも認めざるを得ないようで、オステオパシーやらAKA(骨盤の仙腸関節のマニピュレーション)やらを行う医師も増えては来ているようです。

骨盤が腰痛の原因である、という考えは割と以前からありました。腰痛の痛みを発するのは脊椎なのですが、脊椎が歪む原因は「土台の骨盤が歪むから」ということです。開業前に修行させていただいた整形外科のリハビリでも「骨盤調整」の施術を行っていました。今から30年以上前の話ですから当時としてはすごいことだと思います。

もちろん骨盤の調整だけで治ってしまう腰痛もあるのですが、それだけでは治ってくれない腰痛もあります。治ったと思ったらまた何かの拍子に腰痛が起きることもあります。そういう患者さんの骨盤を見てみると、また歪んでいます。

すると疑問がわきます。脊椎が歪むのは骨盤の歪みがあるから。それなら骨盤はなんで歪む?骨盤は頑丈な骨のカタマリです。周囲を丈夫な靭帯や分厚い筋肉で覆われています。例えば骨盤骨折が高所からの転落や衝突など、強大な外力でしか起きないことと考え併せても明らかに不思議です。

答えは筋肉です。骨格の変位、いわゆる骨がズレる原因は周囲の筋肉の緊張です。骨盤周りの分厚い筋肉が緊張することで骨盤が変位します。そこから波及して脊椎がずれていきます。そうしてそれなら、どうして筋肉は緊張するのでしょうか。

それは脳が筋肉に対して「緊張しろ」という命令を出すからです。何かストレスを感じると人間をはじめとする生き物は戦闘モードに入ります。自律神経(交感神経)の働きで血圧は上がり呼吸数も増えます。筋肉も緊張して戦いに備えます。昨今のストレスフルな社会情勢は、現代人の骨盤周りの筋肉を緊張させるのに十分でしょう。その結果、骨盤が歪み腰痛が発生します。骨盤を調整すれば腰痛は軽快しますが、戦闘モードが解除されないと筋肉は緊張し続け、再び腰痛が発症することになります。

頭蓋仙骨療法で過剰な戦闘モードを解除することができます。交感神経優位になっている脳を副交感神経優位に切り替えて心身をリラックスさせることでこのいたちごっこを終わらせます。

骨盤を歪ませるもう一つの原因は、「硬膜のねじれ」です。脳と脊髄は硬膜という袋の中で脳脊髄液に浮かんだ状態で存在しています。頭蓋骨がストレスや歯科治療などで歪むと、脳を覆っている硬膜がそれに合わせてねじれます。そのねじれは脊髄硬膜を通して仙骨に及びます。頭蓋骨の歪みがドミノ倒しのように脊椎を歪ませ仙骨にまで波及する、と説明したほうがイメージしやすいかもしれません。

この場合もいくら骨盤を調整しても頭蓋骨に歪みが残っていれば再び歪みは仙骨に波及しますから腰痛はいつまでたっても治りません。「骨盤調整してもらった後は楽になるけれどすぐに元に戻ってしまう」と訴える患者さんは多いですが案外その理由を説明できるセラピストは少ないです。

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