治らない足の捻挫と頭痛の関係

内返し捻挫

足関節の捻挫というと普通は「内返し捻挫」、足を内側に捻ったときに発生します。この時に傷めるのが前距腓靭帯です。さらに重度になると踵腓靭帯や後距腓靭帯まで損傷することもありますが、ふつうそこまで重症にはなりません。通常足関節捻挫と言えば前距腓靭帯損傷のことだを指します。

ところが足を内返しにした時に、足の甲の関節(リスフラン関節)や脛骨と腓骨頭との関節が歪むことがあります。前距腓靭帯がの損傷が治っても歩くとき痛い、というときはこれらの関節に問題があることが多いです。おそらく整形外科学では考慮されていない足関節以外、前距腓靭帯以外の不調を考慮に入れて施術を行うところが柔道整復なり補完医療なりの値打ちであると思います。

さて、足関節捻挫が治らないというときは大体はそのあたりの検査をして調整すれば治ってくれるのですが、それで治らない足関節捻挫を先日拝見しました。ごくごく普通の足関節捻挫、前距腓靭帯の損傷だと思っていたのにしばらくぶりに拝見するとまだ治っていないとおっしゃいます。

ちょっと以前になるのですが、就眠時になると頭痛がするという方を拝見したことがあります。お話をよく伺うと仰向けで布団をかぶってしばらくすると頭痛が始まるのだそうです。仰向けで布団をかぶるのであれば普通、足の甲に布団の重み?がかかります。どうも犯人はそれらしい。伺ってみると依然足関節の捻挫をしたのがちゃんと治りきっていなかった様子です。

足の捻挫がどうして頭痛を起こすのか。足関節と、反対側の頭のてっぺんの頭頂骨とは身体の中で一番離れています。頭頂骨は左右二つありますから、右足と左の頭頂骨(または左足と右の頭頂骨)とがちょうど身体の対角線をなしているわけです。足関節が捻挫すると身体の対角線を通して反対側の頭頂骨にもそのインパクトは伝わります。

ちょっと信じがたい話ですが、実際左右どちらかの頭頂骨に動きの制限があるときに、対側の足関節を患者さんに動かしてもらうと制限が緩むとか、頭頂骨を調整しているときに患者さんが自分の足を無意識に底背屈させているとかいうのはそんなに珍しい話ではありません。

そんなわけで布団をかぶったときに足が底屈されると、反対側の頭頂骨に痛みが出るのだと考えて足関節の調整で謎の?頭痛を治したことがあります。

今回の「治らない足関節捻挫」はその逆だろうと見当を付けました。頭頂骨の矢状縫合のあたりを丁寧に触診すると、ちょうど傷めた側と反対の頭頂骨に強い圧痛があります。これを処置して圧痛を消してから患者さんに足を痛かったように動かしてもらうとうまいこと痛みは消えてくれました。

ちなみに足関節捻挫を起こすと損傷した軟部組織(筋肉とか靭帯)から出血します。捻挫した患部が腫れるのはそのためです。軟部組織からの出血は重力に従って足関節から下のほうに流れていきます。捻挫して数日たつと、足裏や踵のあたりに皮下出血斑(いわゆる青タン)が出現してくることがあります。なんでこんなところに皮下出血が?とびっくりされる方がたまにおられます。もちろん日を追って吸収されていきますからご心配には及びません。

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